「だったら、その時間も楽しんできて欲しいんです」
そしてにっこりと笑って、こう付け加えた。
「それでまた――素敵で楽しいお話を、たくさん聞かせてほしいです」
冒頭の『ファースト・クリスマス』が好きですね。
演劇を楽しんでくれたクラスメイトの事は好きだけど、大人数はどうしても苦手だからと二次会としてカラオケの話題が出た時にはいかないというのが菊池さんらしい。
その上で友崎がリア充グループとの縁を大事にしていることもしっているから、その時間を大事にしてほしいという気持もあって、お互いを大事にしてるのが良かったですねぇ。
付き合い始めたばかりの2人の時間を作ろうとしてる、他のメンバーの気遣いも好き。
他の収録エピソードは、過去の日南を描いた『名もなき花』。
妹たちが出てきたり、中学時代の部活動での温度差が描かれたり、日南という人物の強さと怖さが描かれていましたね……。
2位ランカー「No Name」が誕生するエピソードでもあり、これを踏まえて1巻を読み返すと味わい深そう。
失恋した直後のみみみを描く『好きな人のカノジョ』。
少しは褒めてほしい、という心情が切ないなぁ。みみみも好きだったし、偉いと思うよ……。
その後、菊池さんのバイト先にみみみがたまちゃんとたまたま訪れることになって。みみみと菊池さんの一対一での会話も発生していたの、面白いなぁ。このあたり友崎目線では見えないエピソードですし。
傷心のみみみの傍に、たまちゃんっていう親友がいてくれたのは救いですね。良かった。
他は8巻新キャラのレナちゃんを深掘りする『嘘と朝焼け』。このエピソードを見てからだと、8巻最後に送ってきたメッセージのうわぁ度が増すなぁ……。
引っ掻き回すキャラとしては優秀ですけど、そんな茶々には負けないで欲しいものですね。
友崎も参加したリア充グループの年末カラオケ忘年会の模様を描く『みんなのうた』、菊池さんの実家で過ごす様子を描いた『炬燵の天使』の前半などの日常エピソードもあって良かった。
『炬燵の天使』の途中に、打ち上げの終わり際に菊池さんと日南が交わしていた会話の内容が挟まっていて、それが不穏ではありましたけどね……。
あとがきの後に、今回の特装版に付属するドラマCDのシナリオをリライトしたボーナストラック『勇者友崎の冒険 VR体験版』が収録されていて、ワイワイゲームしてるの楽しそうでしたねぇ。日南が魔王になっているの、解釈一致すぎる。