『いやはや、実に見事だ。その容赦のない戦いぶり、我は気に入った』
『私は、正面から全力でぶつかり合う方が好きよ。力と力、技と技、素敵よね』
古代都市最奥のボスのところで、ついにソウルハウルと合流することに成功したミラ。
死霊術の使いてあるソウルハウルは、ゴーレムを巧みに使い敵の回復を妨害しつつ地道に削る長期戦の構えだったようです。
そのため戦闘をゴーレムに任せて情報交換する余裕なんかもあったわけですが。
ソウルハウルは聖杯作りを始めるきっかけとなった女性を、特殊な術で封じている関係で上級の術が使えない制限が掛かっていて。
それでも順調に作成進めていたあたりは、九賢者の名に恥じない人物だなぁって感じでしたが。
精霊王と始祖精霊とパスが繋がっているミラは、本当に生き字引化してて面白いですね。
ミラ達が悪魔の刻印ととらえていたものが、魂に蓄積した神聖な力が表に出てきた証である聖痕であること。邪悪に落ちた悪魔がその排除に動いたため、悪魔の刻印として認識されるようになったのだろう、とか分析してるパートとかありましたし。
あと、ソウルハウルとミラがお互いの研究メモを見て、新しい着想得ているのも「いつもの彼らのやりとり」なんだろうなぁ、という感じで楽しかった。
技能大全で優秀な技を見つけたら共有してボス戦に活かしてましたし。習得速度もずば抜けてるなぁ九賢者……。
ソウルハウルの回復妨害と削りは途中まで順調だったが、リアルとなりNPC達にまで変化が及んだ世界では、ボスもまた対策を変えてくるのは厄介でしたねぇ。
とはいえ、精霊王たちの協力によってソウルハウルの枷が外せるようになったこと。それに加えて全力を振るえるミラがいることもあって、多少想定外がありつつボス撃破できたのはお見事でした。
ゲームだったらボスを倒したらドロップ抽選とかいうガチャが始まるけど、今なら上手く倒せば素材総取り出来るのはありがたい恩恵ですねぇ。上質な素材狙うと倒し方工夫しないといけなくなって大変そうですけど。
ボス撃破は成し遂げたものの、ゲーム時代とは違う演出やドロップアイテムも存在し……。
更にはフェンリルが感知した「神の力に近いなにか」を探す中で、予期せぬアイテムを発見したりもしていました。
ミラ……というか精霊王の助けが無ければ見つけられない隠し通路とか、その先にあったアレコレは謎が多いですねぇ。情報を日之本委員会に伝えてあとの調査は専門家に任せることになってましたが、何か成果がでるといいですねぇ。……ダンジョン最深部でキー発行のため1週間待ちが確定しているのが大変ですが、ファイト!
巻末EX章は「ソウルハウルの嫁物語」。彼が従える不死っ娘である「虐殺のイリーナ」が生前どのような人物で、ソウルハウルが彼女の亡骸を得るまでになにをしたのか、という話。かつてあった悲劇の真相を究明し、囚われた魂を開放したのは善行といえるのでは。……イリーナ目当てだったとはいえ、調査クエストに真摯だったのは良いですね。