「それじゃあつまり……自己紹介はしなくていいのよね。私達、初対面じゃないのだから」
プレイヤー国家の中でも大国であるニルヴァーナで、闘技大会が開催されることとなって。
そういうのが大好きな九賢者メイリンが参加するだろうとソロモン達は予測して。それはいいけれど、そこでメイリンの正体がバレてしまうと問題も多い。
各地を放浪して修行していた仙術師が九賢者だとバレると、偵察の疑いを掛けられるかもしれない。それは最悪の想定ではあるけれど、対策を取るに越したことはないため、早い段階で接触し、参加するにしても正体を隠してもらわないとならない。
そういう依頼をソロモンから受けて、ものの次いでに自分も参加して召喚術の有用性を示そうとするあたり、メイリンのこととやかく言えない気がするんだよなぁミラ。
しかし流石にその腕前の事が知れ渡ってくると、「軍勢のダンブルフ」を知っているプレイヤー達には、ミラの正体に察しがつく人も出始めて。
大会主催者のニルヴァーナ側は主力の十二使徒が『軍勢』にボコボコにされた過去があり、ゲーム時代に行っていた模擬戦でも参加を控えてほしいと嘆願されてたらしいですし。そりゃあ「精霊女王の参加は遠慮してほしい」とか言われるよ……。
船旅の間に召喚していたセルキーのフィーが雨合羽を羽織るのがマイブームとかで挿絵にもなってるの可愛かったですね。
ニルヴァーナに足を運んでみたら、ここでもまた闇の組織との戦いが繰り広げられていて。『巫女』と呼ばれる特殊技能を持った少女を守りつつ、大規模な組織『イラ・ムエルテ』との攻防を行っていたニルヴァーナ上層部から協力要請がミラに出されることとなって。
巫女の能力は対象に取った一人と繋がり、その動向を察知するという強力なモノだったが、繋がりが出来るために相手にも情報が伝わってしまうデメリットがあって。
年若い巫女の行動を制限するために、変態的な色事に熱をあげるとか効果的だけど最低だったな……。というかこの世界闇の組織と変態多すぎでは……?
ニルヴァーナも巫女に護衛をつけていたけれど、変態のせいで男性恐怖症になってしまったため、可愛い容姿になったミラに護衛を頼むという形になって。まぁ、ワルキューレとかも呼べますしね、ミラ。
メイリンの発見と参加時の変装も確約取れて、ほっと一安心かと思ったら怪しげな「魔物除け」を見つけて。
それがまたしても悪魔の関与しているアイテムである予測されて……火種ばっかりだなこの世界は本当に……。