「剣は、重かったでしょう」
アルマークが頷くと、デラクは、剣ってのは重いもんなんだ、と言った。
「男はみんな初めて剣を握るとき、その重さにおののくんです。なんでかって言やあ、それが自分の命の重さと同じだからです」
イラストレーターが変更となって刊行された3巻。
コミカライズ担当されている方ですかね? そっちまでは追えてないので、追々読みたいという気持ちはある。
休暇で出ていた生徒たちが、それぞれのタイミングで戻ってくる時期となって。
次に開催される行事、武術大会に向けて代表を選抜したり、特訓を行うことになったりしていくわけです。
その間に、アルマークとモーゲンは寮の管理人のマイアから仕事を振られることに。
曰く、カッシスという寮で働いている老人が風邪をひいたから、雑務を任せたいということで……彼女に慣れているモーゲンは、反論しても届かないと分かっているのと、世話になっているのとがあって、すぐに引き受けていましたが。
読者目線だと接点の薄い人物が無茶ぶりしてくるので、アルマークが「あの言いぐさはあんまりだ」と言ってくれたのは良かったですね。
学院長とマイアが話している別視点のエピソードがあり、大人たちは何か警戒している出来事があり、それに対処したい。
けれど、彼らが守りたいものは「その価値を知っていたり、欲する者は、手にすることができない」という厄介な魔法が掛かっていて。だからこそ、強引だろうと何も教えずに送り出したそうで……。
運命に翻弄されていきそうなアルマークが、まだまだ未熟なのもあってもどかしい気持ちも募りますねぇ。
でも、アルマークも戦いに関しては自負があって。
書き下ろしで登場することとなったサブタイトルにもある「闇の遺跡」。
モーゲンやウェンディと共に、闇の力に染まった守り人と戦うことになって……北の傭兵の息子とバレたくないアルマークの気持ちを汲んだモーゲンがフォロー入れてくれたりしてたのが良かったです。
闇で歪んでしまったグルムブルが零した「北辺の祝福されぬ民」とか零していたのとか、気になる情報多すぎるんですよねぇ。ウォリスも独自の思惑を持って動いているみたいですし。
武術大会でもなにか起こるって予言してきた子までいるし、これからもアルマークは大変そうですね……。
巻末の閑話『北の傭兵の息子が初めて剣を握った日』。タイトル通り、アルマークが剣を手にするして、初めて戦いに用いることになるまでを描いたエピソード。傭兵たちの矜持を感じる部分があり、とても好きなエピソードでした。