「私には夢があるのです 本の中にしかないような 便利で豊かな生活を送るという夢が」
19~21話、幕間、22~23話と書下ろし小説と漫画が収録。
アッシュと同室になることになった人物「アーサー」。アッシュ君も即座に気付いていましたし、19話最初のページでも明示されてますが、実は女の子で。
王都出身の彼女は、立場があるために利用しようと近づいてくる人や、助けてくれない家族に挟まれて籠の鳥状態であった。
「なんだかんだと理由をつけてろくに助けてくれない父」と書かれているの、原典・編纂版読者としては思う所ありまくる表現でしたねぇ……。
問題が大きくなったため、性別も名前も偽りサキュラに逃げてきた形になるようです。
そんな境遇のために、何かと「我慢することは得意」で乗り切ってきてしまったの、見ていて痛々しくもある。
……でもまぁ、アッシュ君と同室になって「ゆくゆくは協力してくれれば大満足」と思われている時点で、運のツキというとアレですが。
後の幕間でマイカもレイナに「もっと大変になっちゃうね!」といい笑顔で言ってましたし、あながち間違ってないと思うんだよなぁ。
寮生活で男女別の階ではあるけれど、「一緒の建物で生活できる」とウキウキしてるマイカちゃんがカワイイし、マイカワイイポイントが多くて今回も楽しかったですね。
恋に生きてるポワポワな顔もあるけれど、母から「頑張らないとアッシュ君が夢中になってくれる日が来ないかも」という釘刺しがきいていて、これまで以上にフォローしたりしようとしてる、利発な顔もあるんですよねぇ。頑張れマイカちゃん。
ノスキュラ村から領都サキュラに場所が変わり、勉強の場所も神殿から軍子会に変わり、新キャラ・新情報の紹介が多いんですけど、見せ方を工夫してるからかテンポよく読めるのが良いですね。
これはまぁ私がWEBも小説版も読破してる民だから、というのはあると思いますが。
新キャラだと、アッシュ君の無茶ぶりに応えていた都市側の神官ヤエさんが、初対面でめまい覚えているシーンとか。レイナちゃん初登場シーンとかが特に好きです。
巻末書下ろし小説は『レイナの修行』。なんだかんだ良い家の出身なので、普段は召使に任せていたような仕事も、寮生活では自分の事は自分でやる必要があって。そのために必要なことを学んでいく話。微笑ましくて良かったですね。
書き下ろし漫画『とびきりの甘さ』は、原作で好きだった「対人精神干渉型化学物質クレープ」が登場するエピソードで、レイナ勧誘の流れが絵伝版だと違うので本編だと登場せず残念に思っていたんですが、描きおろしてくれたのには感謝しかないですね。
あとは雨川先生がマイカがアッシュの抑え役に回っていることに「ユイカさんもにっこり」とか言ってるの笑った。某資格は取れる人どれだけいるんですか。
電子版にもカバー裏収録してくれてるのはありがたいですね。新キャラの補足とか
囚人衆の名前とかの情報があって、こういうこだわりがある作品は好きです。今回も堪能しました。