今日一日の経験が、私が騎士をするにあたっての意識を変えてくれた。
ただ、戦うだけではない。守ることも、大切な仕事なのだ。
私は騎士という職業を、誇りに思う。
「美しき森の妖精」と呼ばれる種族、フォレ・エルフの娘であるメル・リスリス。
彼女の家は泣けるほど貧乏で、さらにメルはフォレ・エルフが求める魔力も容姿もなかったために、婚約破棄を言い渡されてしまって。
それなのに家族は多いというのもあって、メルは王都にまで出稼ぎに出ることに。
エルフには高慢な人物が多いために、なかなか就活が上手くいかなかったようですが……最終的に他種族が働く王国騎士団エノクに雇用されることに。
体力に自信がないものの、計算などは得意で事務仕事に回されるかと思いきや。
『エノク第二遠征部隊』という人員が4人しかいない部隊に回され、衛生兵としての仕事をすることに。
序盤、ルードティンク隊長がメルのことを頑なに名前で呼ばず野ウサギ呼ばわりしたり、耳いじったりしてくるのは苦手ですねぇ。
後半のエピソードで第一部隊から来た前任の衛生兵が第二部隊の面々を下に見た態度を取り、とかく口うるさく対応してきて、大げんかの末に出ていったとか問題を抱えていたらしいですし。
そんな状態でやっとやってきた後任相手にとる態度か、とは思ってしまう。前任の衛生兵も問題ある人材だったみたいですけど、それと激突したのはルードティンクの性質もあるのではないか……って思える。
そして実際に魔物討伐任務に就いていったところ、第二部隊の食糧事情はかなり悪かった。硬くてかみ切れない干し肉、薬草いりなのかくどい味の水などなど。
そんな環境が我慢できず自炊を始めて、糧食作りなんかもして状況を改善させいって。
その過程で部隊のメンバーとも親睦を深めていく話ですね。魔物退治もするし、行方不明の貴族捜索の任務に駆り出されたりと、遠征部隊と言いつつ遠征だけするのではなく、通常業務なんかも回されている慌ただしい日々でも、メルが美味しい食べ物を美味しそうに食べてくれてると頬が緩む。微笑ましかったです。