「ありがとうございました」
「ふふ……こちら、こそ……。最後に、いい仕事ができました」
クローム大陸を離れ、ジルバート大陸へと帰還したフランたち。
船に乗る度に騒動に遭遇していたけれど、流石に今回は何事もなく戻ってこれたとか。……まぁその分、帰還後のイベントが盛りだくさんだったんですけどね……。
バルボラの知人に挨拶しつつ、美味しいご飯を食べて、自炊用の調味料を買って。良いことももちろん色々とあったんですが……。
鍛冶師ガルスの行方は杳として知れず。ゼロスリードが、とある少年を孤児院に預けようとしたものの妙に懐かれていたため叶わず連れ帰ったという話を聞いたりもして。
キアラの最期について、ディアスたちに伝えられたのも良い事ではありますよね。……飲み込みがたい思いもまた生まれてたわけですけど。
フランが黒雷姫として名前が知れたことで、馬鹿に絡まれにくくなったかと思いきや、それでも絡んでくる大馬鹿がいるんだから面倒です。大馬鹿、弱いから片付けるのは楽でしたが。
懸念事項があるなかで、オークションに参加することになったフランたち。
ガルス作成と思われる剣の鞘をゲットして、そこに込められたヒントを発見し、本格的に彼を探そうとするわけですが。
王都ともなれば貴族の影響も色濃くて……踏み込んで解決というわけにもいかず。
情報屋やギルドを頼りつつ動いていく中で、以前縁のあったコルベルトの縁で別の貴族と繋がれたのはありがたかったですが。
各勢力から注視されていたアシュトナー侯爵がついに動いて。
敵が秘めていた切り札、疑似狂信剣。薬と併用して、意思を奪った強力な兵隊を作り出してるとか、厄介にもほどがありますね……。
実際多大な被害が出てますし、40年も時間をかけたというだけのことはある。それでもフランと師匠が奮闘したのと、高位ランクの冒険者も意地を見せてくれたのは良かったですね。……犠牲になった人が多くて素直には喜べませんが。
勝利を掴んだとはいえ、一歩間違えば死んでいた薄氷の上のものなのでハラハラしましたね……。