「わたしが、あなたに望むものは何もありません」
ケルベック伯爵家が、本当に全面的にモニカの味方してくれてるのが分かるプロローグが結構好きですね。
他所の家の間諜が、モニカについて探りを入れようと領内に入ったりも増えてきたみたいですが。それを察知した領民たちからの報告を受けて、「それっぽい状況」を見せつけることで、誤魔化すことに成功していたのはお見事でした。
「いじめられる演技をする少女」を領内から雇い入れて、演技中以外は福利厚生をしっかり整えているの、こだわりを感じてなんか笑っちゃった。
モニカが成し遂げた魔術奉納、評判なのは良かったですけど……それを成し遂げた後、注目を集めすぎて失神してしまうのは実にモニカでしたねぇ……学院に通って、大分緩和されてきていたとは思ったんですが。
呪竜騒動について深淵の呪術師レイと話していたのを、七賢人の一人である茨の魔女ラウルに知られてしまって。七賢人の若手で奇妙な協力関係が築かれたのは面白かったですね。
七賢人としての活動中に、シリル副会長に会ってしまったり。怪しんでいるクロックフォード公爵と話をする機会があったり、城に行った分のイベントは発生していましたが。次への伏線になるネタが多かったですかね。
休み明けのセレンディア学園。
モニカと悪縁のある二代目ミネルヴァの悪童ディーや、チェス大会で興味を持ったロベルトが転校してきたり、政治的な問題から第三王子までやってくることになったり。
グレンもディーと悪縁があって、魔術の勉強に打ち込んだりしてましたが……。
無詠唱で魔術を使う沈黙の魔女モニカが、「あれは早く発動できるだけで、言うほど大したものじゃない」と割り切ってるの凄いですねぇ。
実際、無詠唱は彼女の武器の一つでありますが、以前ルイスの結界を解析したように魔術への深い理解と見抜く力がモニカの本当の武器みたいな感じがありますし。
好き放題暴れるディーが、モニカに気付いて目を付けたことで決闘騒ぎにまで発展。
モニカは実力隠しているので、義憤に駆られたシリルたちが戦うことになったわけですけど。
好き勝手振舞うだけの実力がディーにはあって……モニカがバレないように介入して叩きのめしてるのはスカッとしました。
そして書籍書下ろしのエピソードが差し込まれてて、ズブズブの第二王子派の七賢人宝玉の魔術師が暗躍していた問題に巻き込まれていくことになって。
モニカが敵の使った精霊を捕らえた兵器に即座に対応したのは、彼女の凄さを感じて好き。
あとはモニカに雇われたバルトロメウスが「ガキは大人を頼っていい」と言ってたのは良かったですねぇ。複数の七賢人が動く事態になっていたのは、ちょっとワクワクしましたが……決着は次回に持ち越しになったので、早く続き読みたいですね。
あとがきによれば7巻は次の冬頃になって、その前に上下巻でルイス主人公の番外編が出るみたいですが。
6巻(実質上巻)→番外編上巻って刊行順になるの、もどかしいな……。