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「ふたりとも、ニナのせいでダメダメなのです。ニナのことはチィに任せてふたりは一度パーティーを卒業したらいいのです」

「ティエン……仲良くなってきたと思ったらずけずけ言うようになったわね」

 

ニナの元職場マークウッド伯爵家が零落したり、名高い五賢人の一人が執心しているという話があったり、ウォルテル公国が大金を積んで探していたり。

彼女に関する噂のネタは、各国の貴族の間で広がるうちにどんどん尾ひれがついて、どんどん真相から遠ざかっていって……。

 

それでも変わらず、メイドであろうとしているニナがブレないのが良いですねぇ。

ウォルテル公国の首都を訪問した彼女は、ここまでの道中で気になったことがありとある商会に足を運んだところ……なぜか、すげなく追い返されて。

店主のクレア、商会の状況がよくなかったり、自分のトラウマ踏まれてしまったりと苛立ちポイントがあったとはいえ、初見の相手を追い払うとかは良くないと思います。

 

ニナは野良のメイドだったわけですが、普通はメイドは誰かに仕えているわけで、そういう有力者候補からの評判下げる行為は商人として良くないと思うよ……。

というのは、一読者の感想ですけど。あくまでニナはニナだし、彼女に救われたパーティーメンバーたちもまた、そのニナの善性を大事にしようとする人々なんですよね。

商会の問題へと踏み込んでいって、ニナが以前縁を結んだ大商会の御曹司ファースの助力も得て、解決したのはお見事でしたねぇ。

 

そしてニナのパーティーメンバーも各々の得意分野では傑出していて……流通革命につながる可能性のあるアイデアとかを齎すことになっていて、それが形になっていくとまたぞろニナの評判が上向きそうだな……。

4人の旅はその後も続き、ティエンの両親探しという目的から「月狼族の2人組」という噂を聞きつけて帝国の首都に足を延ばしたり、噂の確認を終えた後はリラックスのために帝国南部のリゾート地へと赴いたりして、身分に縛られていないからこそ自由な旅をしていて良いですねぇ。

 

各地で問題解決をしていた中で、ついに噂が追い付いてきたというか。ニナを確保しようとする貴族がやってきたりしたわけですが。

……現状、この世界の権力者あんまりろくなのいない気がするんですが、どうでしょう。ニナとの対面を希望して使わされた執事とか、騎士とかの対応とんでもなかったですからね。

最後、皇帝の使者に連れられて行くことになっていましたが、厄介ごとのにおいしかしないんだよなぁ……。