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「アーシャさまが我々の想像の上を行くのはいつものことですから。慣れないといつまでも疲労するばかりですよ」

(略)

「慣れて……この状況であることに疑問をもたなくなるほうが、恐ろしくはありませんか…………?」

 

あとがきに書かれてるんですが、WEB掲載分からすると加筆されて流れ変わってる部分が多かったですね。

なんでもWEBの該当部分を連載していた時期に、このあたりで完結させようと思ってプロットを変更し、出す予定だったキャラの顔見せだけ済ませるつもりだったそうで。

そのタイミングでレビューを貰ったり読者が増えたことで、継続に舵を切ってくれたそうなので、当時レビューを書いた人グッジョブ。

私は今年の4月だか5月だかに見つけて読み始めたので、最悪出会えてなかった可能性あった訳ですからね……。

 

閑話休題。

皇妃との関係が緩和したこともあって、新たに侍女をつけてもらえることになったアーシャ。財務官も派遣されて、皇子なのにもらえていなかった歳費も与えられることになって……環境的には改善してるとも言えます。

ただ、どちらも仕事はしっかりとこなしてくれるけど、侍女のノマリオラはルカイオス公爵にアーシャの情報を流しているようだし。第一皇子付きとなった財務官ウォルドは実質左遷だからと宮殿での繋がりが途切れたようですし、問題も付随してきたんですよね。

 

アーシャは仕事ぶりや2人のおかれた状況をセフィラも使った上で把握して。その上で、相手に利益を見せつつ引き込もうとしているのが強かで良かったですねぇ。

……そういう考えに至れるからこそ、皇帝の側近のおかっぱとかストラテーグ侯爵とか、優秀さを知ってる人から警戒されるんだろうなぁ、というのも分かる。

自分の錬金術の成果物のチェックをしたい、という建前でノマリオラの急所をついて、見事忠誠をゲットしていたのはお見事でした。

 

加筆パートで言うと、ディンク酒関連で打ち合わせに帝都に出たら、モリーに絡んでいる悪名高い商人と犯罪者ギルド所属のごろつきが居て……。

その現場を見たことで、関係者から犯罪者ギルドについてアーシャは情報を集めはじめて。下っ端をいくら捕まえても意味が無いから、とそこまで積極的に対処する気はなく、『いつか潰す時のため』くらいのスタンスだったんですが。

 

帝国を再訪したディオラに絡む、公爵家と敵対する派閥の貴族関係者がいたり。

兄を慕ってくれる弟たちに、錬金術の実演をしたりと兄弟仲は良好ながら……距離が近づいたことで、テリーは兄の不遇に気付いてしまって……。

アーシャが入ったことない場所に招こうとしたら、それを察知した勢力からの襲撃を受けたり。

 

見事にアーシャの地雷を踏んで、犯罪者ギルドやそれに与した貴族の排除にアーシャが動くことになったんだから、エデンバル家はバカなことやりましたね……。

まぁ当代のルカイオス公爵との関係も悪く、追い込まれている派閥でもあったからこそ無茶をした、という面もあるみたいで。アーシャの弟にちょっかい出さなくても、追々公爵達に潰されていたとは思いますが。

セフィラの補助もあるアーシャだから、色々と無茶できちゃうんだよなぁ……というか。より容赦なく潰されたな、という印象。

 

いろんな騒動がありつつも、弟たちは兄をしっかり慕っているのが良かったですねぇ。

表紙絵のような、弟たちが兄を招いてのお茶会を開いてくれたエピローグは、アーシャの奮闘が活きてて好きです。

電子版の書下ろしは『皇妃のサプライズ』で、そのお茶会の準備について相談された皇妃の話。いやぁ、良い人ですね本当に。父は政治的な思惑からアーシャを排除しようとしているけれど、彼女は連れ子であるアーシャの事情を知ってから、心配りしてくれてますしね……。

TOブックス公式SNSの発信によると、4巻までの刊行が決定しているそうなので、楽しみに待ちたいですね。