「そもそも――お前が不幸にならなきゃいい」
端的に、俺にそう言った。
「お前が幸せになれば、その姿を見せりゃ、それで問題解決だろ」
今回のメインは六曜先輩。
家柄や才能を言い訳にすることなく、努力すれば誰にだって勝てるだろうと過去に成功体験を得た少年。
起業したいという願望があるものの父に反対されていて、学園祭の有志ステージを担当してメインステージに勝つことを条件に許されることに。
六曜先輩と二斗が学園祭の実行委員長と副実行委員長を務める、というかつての時間軸と同じ流れを辿ることになっていましたが。
そこに未来を知る巡が介入していくことで、またしても未来は変わっていくことに。
二斗もループを重ねていく中である程度未来を知っているわけですけど。彼女は、自分の望む未来のために他を切り捨てていくことしかできなくて……それでも望みには届かず、壊れていってしまった結果が、失踪するという未来なのかなという危うさがあったわけですが。
そこは救おうと足掻く巡とは違う視点ですね。まぁ今回は巡も色々と抱え込んで、迷走しかけたりしましたが。六曜先輩に喝を入れられて再起したのは良かったですね。
そうして救われた分、巡が六曜先輩へしっかりとお返しできていたのも良い関係になっていったと思います。
表紙イラストと作中の挿絵とで変化を見せつけにくる構成、インパクトあって好きですねぇ。あとがきに書かれていましたが、岬先生の癖が詰め込まれた結果のようです。
個人的には表紙イラスト側の方が好きではありますが、イメチェン後も好きなので悩ましい。
変化した未来において、巡は自分の果たすべき目標を見定めていましたが……地の文でも「やり直しの終着点が近づいている」といった風な書きかたされてて震えました。