「――そうですね 血統上はクルト殿の弟ではありますが…
公式の場では俺は独立している『法衣男爵』ですよ」
ようやくブライヒブルクに帰還し、気ままな冒険者生活を送っていたヴェル達。
遺跡探索ではヴェル達魔法使い組の活躍が光っていたからこそ、というか。エルやイーナは気合が入っていたりしたようです。
まぁ普通の冒険者はそうした魔物退治にいそしむようですが……。
最初期に竜討伐して、冒険者デビュー後に遺跡に挑む事になったヴェル達が普通なはずもなく。
ブライヒレーダー辺境伯から、15年前に派遣した魔の森への遠征隊についての依頼を持ち込まれることに。
間違いなくアンデッド化しているだろう彼らの浄化。
子孫に遺恨を残さないためとか、ヴェルの故郷だから瞬間移動の魔法で直ぐに行けるし、ヴェルとエリーゼという聖属性魔法の使い手がいることなどの理由が加味して持ち込まれたみたいです。
とは言え、ヴェルはあの実家に顔を出すのを面倒がってはいましたけど。
実際帰還して、領民たちには歓迎されていましたが……兄に死を望まれていただろうことに気付いてしまって、ヴェルが憂鬱になるのもまぁ無理のない話でしたねぇ。
家を出て爵位を得た弟相手に、まだ跡取り段階のくせに難癖付けて反撃くらってるクルトは本当にもう小物なんですよね……。
しばらくそんな小物だったり、長らく暗躍している名主のクラウスを相手取ることになるので、ヴェルは本当にお疲れ様というほかない。