「だって、どれだけわたしが自分のことを否定しても、星美くんは一度だってわたしのことを否定しなかった。わたしが変われるように、諦めないで背中を押してくれた。だから、わたしが強く見えたのなら、それはきっと、星美くんのおかげなんです……! 星美くんが隣で支えてくれるって思うと、なんだか、今まで怖かったこともあんまり怖くなくなるんです」
女装が趣味の主人公、星美次郎。
必要な知識としてファッションやメイクなんかの知識をしっかり仕入れて活用し、女子ともそう言ったトークで盛り上がれる立ち位置になっていましたが。
友人たちにも女装趣味は伏せていた。ただ女装して出かけた先で、ファッションに悩む女子を見かけたら「可愛くしてあげる」と声をかけていたことから、『存在しない女子生徒』の噂が学校で流れることになってしまっていて……。
それでも趣味の女装はやめられず、「(姉からもらった制服で)女子生徒と誤認されてるなら、私服で出かけよ~」って出かけるの、自由ですねぇ。
バレるリスクがあっても、可愛いとは時に人を狂わせる魔法のような力を持っている、と自覚して動いているわけですが。
その上で悩める女子への声掛けもやってるんだから、もうすこし自重してもいいのでは、とはちょっと思いましたが。
実際声掛けの帰りにクラスメイトの陰キャ女子に見つかって、「可愛くしてほしい」というお願いをされてしまったほか、ウィッグが取れてしまったことで正体発覚までしていたわけですからね……。
学校でのバレを星美は警戒してましたが、心寧は「可愛い」として認めた相手の秘密をバラす気はなかった。……というか陰キャすぎてバラそうにも話しかけられる相手がいないという悲しい暴露までしてましたが……。
「可愛くしてほしい」という提案に対して星美くんが躊躇していたら、頑張ってバラしてやると脅迫じみた真似までしてきたけれど。
陰キャ力高すぎて自虐が過ぎるのはちょっとアレでしたが、星美くんの女装趣味を否定しないでくれたのは良かったですね。花ヶ田さんのイラストが本当に綺麗で、可愛くなっていく過程が描かれているの良いですね。スカート選んで試着しているシーンの絵と、カジュアル寄りの女装する星美くんのイラストが特に好き。
星美くんの指導によって少しずつ変わっていく心寧は、注目を集めてクラスで浮きかけたりしてましたが……友人たちのアドバイスを受けて対処したりもして。
心寧さんには心寧さんの想いがあって。星美くんに「過保護で過干渉」と突っぱねられるシーンもありましたが……自分がおかしなことをしてる自覚はあって、自罰的になってしまうの背負いすぎ感はある。
過去に傷を持っていた彼女が、それと向き合うことが出来たのは良かったですねぇ。