『……魔女め! 貴様、何者だ!!』
『ふふっ。ご自分でおっしゃってますし、冒頭でも紹介してたじゃないですか』
(略)
『黄金の魔女……』
フロンティアと呼ばれる異世界と繋がった世界。
人々はフロンティアに許された範囲で、資源を求めた探索を行うことになって……。
現在は資格取得したものであれば、民間人であってもゲートを潜ってフロンティアに向かうことができるようになった。
厳密には異世界探索、なんですけど現代ダンジョンもの風というか。実際冒険者として赴いた時に、スキルとかレベルとか確認できるからゲーム的ですねぇ。
サブタイトルでざっくり序盤の流れが分かる系の作品ではありますね。
「明日から来なくていいよ」とクビになった主人公が、冒険者になることを決めて。ブラック上司とブラック企業滅びればいいのに。というのはさておき。
主人公の沖田君、学生時代にそこそこ付き合いがあった後輩少女のカエデちゃんと再会した時も覚えてなかったし、ノリが軽くて挑発的な言動もあるから、彼も癖が強いキャラではあるんですよねぇ……。
ブラック労働で病んでてボロボロになってる部分もあるっぽいですけど、ある程度は彼の素だろ……学生時代から知ってるカエデちゃんの反応からして。
父から剣術を教わっていた経験もあってか、レベル1で剣術スキル5とかあって素のスペックも高い方なのに、ユニークスキルで錬金術ってものを得てしまったのが、全ての原因だったというべきか。
初期レベルから回復ポーションのほかに、「性転換ポーション」なんてものまで作ることが出来て。さらにはその素材が水と小麦粉なんていうお手軽さで。
沖田君、ノリは軽いけれどさすがに本名でその特異さを披露するのは避けて、性転換ポーションで女性の姿を取った上で行動をとるようにしていたのは、良かったですけど。
規約ちゃんと読んでなくて不審な行動取るし、言動も緩いしで、カエデちゃんが受付嬢としてついてくれなかったら、もっと騒動になっていただろうなぁ……。
ちなみに本作の性転換ポーション、わりと高性能ですよね。ただ性別が変わるんじゃなくて、身長とかも変わって違和感のないスタイルになるっぽいですし。性転換時は別人の判定になるのか、「女性の姿で金髪に染めても、男性に戻った時は自前の黒髪のまま」とか変化の記憶効果があるの、地味に便利。
まぁ本人はお気楽なんですが数百円の素材で、数十万のポーションとか数千万のアイテム袋とか作れちゃうの、ヤバいよなぁ。支部長が頭抱えるのもむべなるかな。
これまでに存在しなかった大容量アイテム袋をオークションに出品し始めたり、他の人々も注目し始めましたが……「黄金の魔女」って異名は、わりと正鵠を射てる感じがしますなー。