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「当たり前だろ。お前と一緒だよ、ドラ子。約束や契約は放り出さねえ。ロクなことになんねえからな」

欲望のままに生きることと、ルールを守ることは矛盾しない。遠山の中でそれは全く相反せずにある決まり事だ。

 

蒐集竜アリスとの縁を結びドラ子なんてあだ名で呼ぶ中になった上で、自分らしく行動することを決めた遠山鳴人。

彼は自分と似た夢を持つリザドニアンのラザールとの再会を目指し、スラムへと足を向けましたが……そこで財布を掏られてしまう失態を演じることになって。

 

まぁ、容易く逃がしてやるほど甘くはないわけですけど。スリの少年ルカは逃げた先で、カラスと呼ばれる組織の末端に絡まれて、それを遠山に助けられることになったりして。

そこからスラムの少年少女との縁が出来て、彼らの助けを得たことで遠山はラザールとの再会を果たしたわけです。

ただ、遠山と別れた後の孤児たちがカラスに目を付けられる羽目になって。逃げおおせた一人が遠山に助けを求めてきたりもしました。

 

最初こそ『賢い選択』として、助けない選択をしかけていました。矢印の導きもまた、カラスという組織は強大な組織であり、ラザールと一緒に逃げおおせたいのなら敵に回すべきではないと度々警告を発してきていたわけですが。

見捨てるという選択が出来なかった遠山、結構好きです。その決断によってルートが消失して「もうめちゃくちゃだよ、これ」と自我出してきたりするの正直笑っちゃった。……でも、これ超常の存在関係者の自我なわけで、意識あるのは怖くもある。

 

スラム付近で活動していたカラス一派を皆殺しにしたけれど、子どもたちの内リダが致命傷を負っていて。

どうしようもないか、と思われたところで蒐集竜との一件で姿を見た、聖女が接触してきて。注目の対象である遠山を監視し、あわよくば恩を売ろうと考えていたみたいですが。

聖女の上役である大司教としても予想以上の大事を起こしてきたの、読者目線だと正直笑える。それに振り回される人々からすると、笑いごとじゃないですけど。

 

そうやって仲間を増やしていたわけですが、リダを救うための契約で早急に金を稼ぐ必要が生じて。冒険者になって成り上がるという手法を選んだわけですが。

教会が「発酵」とかの知識を秘匿していたり、正義を執行するために敵対勢力を殺すことにためらいが無い人物が騎士の第一位にいるのとか、爆弾多すぎて怖いなぁ、というかなんというか。

 

遠山も敵対者には容赦しないタイプの人材ではありますけど、そんな彼が登録しようと冒険者ギルドに行った時に、「彼との出会いを覚えていないウェンフィルバーナ」と遭遇して敵対することになったり、うっかり地雷踏んだりしてたのは因果応報感。

それでも蒐集竜との縁があったり、自前の口車とかもあって生き延びていましたけど。

いざ仕事をしようとしたら門番の教会関係者ともめたり、遠山たちの利益を横取りしようとした先輩冒険者と敵対したり、教会の騎士第一位とバチバチになったりするの、遠山の引きが強すぎて笑うしかないな。

異世界に遠山を送り込んだ超常の存在が「『難しい』から『すごく難しい』になるくらい」と感傷によって生じた難易度の世界観だなぁ……って感じですが、そんな中でもなんだかんだ命を繋いでるタフさが素晴らしい。