「……いいのか? 選んだその道がつらいことがあるかもしれない」
「選ばない後悔の方が辛いよ」
(略)
「……本気か? 一生に一度の選択だぞ」
「本気。どうしても進みたい」
ただの協力関係では無く、友人となった鏑木君と来栖さん。
来栖さんはクラス替えで鏑木君と一緒だったことを喜んでいたり、「最初は鏑木君」と友達になりたいけど保留していた涼音とも友達になったりして、実に微笑ましいなぁ。
そしてそんな彼女の前では、旧友であるはずの鏑木君が見たことのない表情をするのを見てしまった涼音は内心穏やかではなくて。
鏑木からすると心の声が聞こえにくい涼音との関係は穏やかで好ましい物だったようですし。
涼音は涼音で現状の交流というものに満足するようにしていたみたいですけど。
進級し、進路についての問題が目の前に迫ってきた中で、彼女は決断を迫られることになって。
来栖さん、何気なく「ずっと一緒に居たい」とかタブレットに出したりするから、真面目で素直なのは美徳だけど、うっかり騙されていきそうなのは怖い。
雛森が「私は神様です」とボケたの信じてましたからね……。良くここまで純粋でいられたな、という関心がある。
そういう進級後の交流のほかは、中学時代からの付き合いである涼音について掘り下げていくエピソードが多かったですね。
鏑木君、対人関係でのトラブル回避のために「恋人がいる」という嘘をついていて、それを知っているのは来栖さんだけだったわけですが。来栖さんの距離感を見て、涼音も自分で気が付いて。
そのこともあって、これまで引いていたラインを超えていく決心をしたの良かったですねぇ。個人的には応援したい。