「悪いが、お前の事情に興味はない」
(略)
「俺が興味あるのは、お前に、仕事に見合った報酬が払えるかどうかだけだ」
魔術を操り、人知を超えた被害を齎す存在、魔女。
かつては魔女の怒りを買ったことで、一夜にして滅びた国すらあったという。
そんな魔女を殺そうと貴族が出兵。過去の討伐隊が誰一人として戻らなかったことから、領主の私兵意外にも民兵や傭兵などを集めに集めて挑んだようです。
メインキャラの一人であり、タイトルの傭兵部分を担うのが『ジグ=クレイン』。彼もまた貴族に雇われて魔女を殺さんと現地に赴いた一人だった。
危険な相手だろうと、前金は受け取っているのだからと果敢に攻め込んでいくの良かったですね。体格の良い彼が使っている武器は、それに見合ったサイズと威力で……あとロマンもあって良かったですね。
ジグは歴戦の経験などもあって、標的であった魔女ことシアーシャの命に手がかかるところまでたどり着きましたが。
魔女との激戦の中で雇い主であった領主の息子が死亡。これでは残りの報酬は受け取れないから、と魔女を殺せる距離だったのに「これ以上は仕事じゃないから」と殺さない選択を取って。
……その態度に思う所があったのか契約解消してフリーになったジグを、シアーシャは自分が雇いたいと言い出すことに。
魔女の身の上話には興味がないと言いつつ、報酬があるなら仕事は全うする。ジグ、公私の線引きがハッキリしているというか、自分が干渉するラインを見極めているので結構好きなキャラですね。
彼らの住む大陸全土で忌避されていると言っても良い、「魔女」という存在に雇われることも厭ってないですし。雇われた後は、彼女のためになるように動いていますし。
彼がした提案が、この大陸で忌まれているのならば、別の大陸に渡ればよいというもので。技術の発展で、今まで渡れないとされていた異大陸へ渡れると目され、調査船団が出ることを知っていたジグの提案にシアーシャが載ることに。
そして実際に、異大陸にはたどり着いていたわけですからお見事です。えぇ。技術発展ってすごいですね!
……まぁ、異大陸ではジグ達の故郷では魔術が御伽噺の存在となったように、歴史の中で消えていった魔獣と呼ばれる狂暴な獣が生存していて、調査隊ほぼ壊滅したんですが……。
情報が何もない中で孤立することになったジグとシアーシャでしたが、2人とも戦闘技能は確かなので、そこまで不安はありませんでしたね。実際、調査隊が壊滅した騒動の時も、無事に生き残っていましたし。
傭兵として多くの出来事を見てきたジグは数百年単位で引きこもっていた魔女に比べれば、対人関係なんかにも気を配れる人材だったのもありがたい。
異大陸ならではの事情もあって、異なる文化に戸惑うことも多々あれど、少しずつ人の世界に踏み込んでいけているのは良いですねぇ。
異大陸ではヤバい傭兵が多かったりしてジグが衝撃を受けていたり。魔獣対策がメインの冒険者と呼ばれる職業が広く受け入れられていて、シアーシャがそれに参加することになったり。有能だから色々と注目を集めることになったり。
イベントには事欠かない生活を2人は送っていくことになります。いや、評判いいのは知っていたんですが読むの後回しにしてしまっていたシリーズで……実際面白かったですね。私は好きです。