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「冗談 手がかりがなくて行き詰まるなんて昔っからよくあったよ」

「こういう時はじっと牙を研いで時期を待つの きっと潮の変わり目が来るよ」

(中略)

「ほらね? ここからだよ」

 

シリーズ完結巻。

決定的な分岐に戻ってきたカナメがGMと対話し、イエイリ教授たちとグリードの思惑を阻止するべく「ダーウィンズゲーム」のシステムを停止。

……したと思ったら、イエイリの仕込んでいたシステムによってゲームを乗っ取られるとか何やってるんだ!? な終わりを前の巻ではしていたわけですが。

 

ダーウィンズゲームのGMという立場は奪われたものの、あくまでアレはイザヤが世界線の守護者として兵隊を増やすために作ったツールなわけで。転移や異能の覚醒と言った技能をイザヤが行使できるのはラッキーでしたね。

グリードの襲撃からそれで逃げることが出来ましたし。自分たちの行動が敵に有効だったからこそ今の状況になっている。最悪な状況ではあるけれど、敵の正体も掴めたからこそ打てる手もあると、カナメ達が前向きなの良かったですね。

イザヤがダーウィンズゲームのシステムを使わず、人の異能を覚醒させるの1日がかりの儀式が必要らしくて、そこはちょっと懸念材料ではありましたが。

さらにこの重要な場面で転移してきたカナメのタイムリミットも迫りつつあって……。

 

イエイリ教授が果たして何を思って裏切り、これまでの行動を起こしていたのか、という過去についても明かされましたが。そのあたりはうーん、って感じだったかなぁ。

グリード相手にも手札を伏せて、全ての黒幕になりおおせた手際は良かったけど。心まで縛ってるわけじゃないからウィッチとかに普通に命令守ってもらえずにピンチになっていたり、どうにもラスボスの小物感とか、展開ちょっと駆け足になっていたかなぁ……みたいな気持ちもあるにはありますが。

 

カナメの異能で作り上げた渾身の一太刀による決着だったり、彼が全てが上手くいった世界ではなく、ボロボロになっていようと自分の故郷を選んで帰還する結末だったりが見られたのは良かったですね。

ジスラン博士が物資も乏しい中、カナメの異能で再現できるくらい簡易な作りながら性能の良いツールを開発して、あの世界の未来もこれから広がっていきそうなのも良かったですし。