ico_grade6_4

「防げるなら防ぐ、講じる手があるなら講じる。そうして初めて相手も思い止まるんだ。いいか、争いを起こさせるのは欲とか名誉だ。だが争いを呼ぶのは、あからさまな好きや弱者への優位だ」

(略)

「これからだと思うんだけど、そんなの待ってはくれない、か」

 

不遇が父と継母に知られたことで、家族との関係が改善したアーシャ。

しかしそれは彼の存在を疎ましく思っている公爵家からすると、面白くない状況で。状況によって政敵になるはずの2家が手を組んで、アーシャを外に追い出す策略を練ってきて。

 

……問題の解決のために軍を率いる必要があり、つまりは皇子としての実績を積むことができる。公爵家の思惑としては、簡単に解決できない問題をぶつけて追い払おうってつもりみたいでしたけど。

アーシャはその類まれな才覚を活かして、早期問題解決を目指すつもりで。実際に現地に赴いて道筋作ってのけたんだからお見事でした。

 

まぁそこに至るまでの過程が問題山積でしたけどね。

皇子の悪評を吹き込まれた上、アーシャを追いやるための策略に巻き込まれて逃げられないくらいの将軍が派遣される軍のトップについたことで衝突絶えないし。

皇子が動くことで近衛もつけられたけど、中にはアーシャへの態度の悪さから罰を与えられた人材がいたり、不満を持った近衛が反乱を画策したりしてましたし。

さらには予想外の人物から刺客の差し入れが送られてくるなど、よくもまぁこれだけ別の問題置きながら現地の問題解決してみせたな、と感心すらしてしまった。

 

アーシャはこれまで隔離された状況を良しとして、悪評もそのままにしてきた。

それは政治的に望まれぬ長子である彼が排除されないために必要な、政治的な配慮でありましたが……。今回縁を得た軍の代表ワゲリス将軍は、その姿勢に反発。

政治的な目線を全く持たず、行動的すぎる人物であり、アーシャの立ち位置も理解せずに文句ばっかり言ってくるところは、正直苦手なキャラではありましたが。舐められすぎてるからこそ、敵も行動を起こしてくるんだぞという視点を与えてくれたのはありがたかったか。

 

アーシャ、不可視の知性体であるセフィラという強力な手札も持ってますし、彼が攻撃的な対抗手段を獲得することで問題が大きくなりかねない可能性もはらんではいますけど。

これまでの積み重ねからして、周囲の家庭教師も良い人材揃ってますしアーシャがそこまで判断を誤ることはないんじゃないかなぁ……とは思ってます。

WEBの更新も定期的に続いていますし、4巻の刊行も決定しているしで引き続き楽しみなシリーズです。