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「ふうん。私さ、仕事をしているお母さんを初めてみたけど、かっこよくて驚いちゃった。キリリとしていて、デル・ドルガーよりもずっとかっこよかった!」

 

イラストレーターが、牛野こもさんに変更になって贈られる3巻。

アシュベリー王国は周囲に4つの国があり、各世代で順番に王妃を迎え入れることでバランスをとる外交を行っていた。

次代を担う王太子妃として迎え入れられたのは北方、イーガル王国出身の侯爵令嬢デルフィーヌ。彼女は、王太子と良好な関係を気付いていたようですが。

イーガル王国内部でのいざこざがあったり。さらにアシュベリー王国は近ごろスバルツとの境で金鉱脈が見つかったことで緊張感が高まっていたりと、ピリピリした状況だったようですが。

 

それはそれとして、ノンナはクラークに誘われて歌劇を見に行くデートをしていたり。

アッシャー家としてみれば、軟膏用の工房の改修工事が終わり稼働を開始しようとしていたりして、色々と順調に進んでいる状況ではあったんですよね。

ノンナがちょっとお転婆に育ちすぎて、淑女教育は「もうすこし頑張りましょう」な部分はあれど、3人家族は幸せに過ごしていました。

 

ただ先述の通りアシュベリー王国はいま悩みの種が多く……。

そんな中で、祭事で王太子妃が表に出る予定が近くにあって。アシュベリーの工作組織が影武者を立てることになったわけですが。

その影武者が別の任務先でトラブルに遭遇し、負傷。影武者を任せるのには不安が残る状況になってしまった。

そこでジェフの兄エドワードはビクトリアの経歴を知っていることもあって、彼女に代理を頼めないかと画策することに。

 

ビクトリアは悩みながらも、この話を聞いたうえで断ってその上で王太子妃に危害が加えられれば、心に傷を負ってしまいそうだから、という利己的な理由も含みで受諾することにして。

ノンナには隠して仕事に出ることになっていましたが……残されたノンナ、どうにか城に潜入できないかと画策するし、ちょっと夜に抜けだしたりするし、怪しい人物への警告からの攻撃に躊躇いがないしで、スペックは本当に凄腕工作員だよなぁ……。

周囲の人々の薫陶もあって、善性に育ってくれていたからこそ、ビクトリアが警戒している「命を奪う一線」を超えずにいてくれているのが良かった。

まぁ、ノンナ実母に捨てられていたのを察しつつも、ビクトリアとも良好な関係を築いている、元から良い子ではありましたけども。

 

ビクトリア、出来る範囲での情報収集をしっかりして、手札が限られた状況でもある程度真相に辿り着いているのが凄いですねぇ。

現役の工作員から教官になってもらえないだろうか、と思われているのも納得。

エドワードの隠された仕事とかに推察をつけたりして、アシュベリー王国の裏事情にも詳しくなってきてるし。王太子妃との縁が出来た事で、表舞台でも注目を集めることになるし。彼女たち夫婦の望む平穏とは少しずつズレてしまってはいますが……それでも、彼女たちの周囲に大過なく騒動を超えられたのは良かったですね。