ico_grade6_4

「唯一無二の武器があれば、絶対に勝てるというものでもないでしょう。結果的に、勝てば良いのですよ、勝てば」

(略)

「だが、天才が有能とは限らない。一緒に仕事をするなら、無能な天才より、有能な凡人の方が良いに決まっている」

 

クロックフォード公爵とズブズブの七賢人、宝石の魔術師エマニュエル。

しかし彼は、今回の偽王の笛に関する一件を公爵には伝えていなかった。それは、修理できるかも不明だし、途中で報告を挙げたら取り上げられることは必至だったから。

さらには他の七賢人への嫉妬などもあり、彼は他に負けない唯一無二の輝きを求めたのだ。

実際、精霊を原動力にした鎧だとか、特殊な結界を展開する魔道具だとか、かなりの成果を上げていたので、その点では執念が実を結んだようですけども。

 

彼の前任が、身内の不祥事で辞めざるを得なかった星槍の魔女カーラだったというのも、良くなかったかもですねぇ。今回ついに星槍がお披露目されていましたが、あんな輝きと比べられたら、そりゃ影の一つも落ちるでしょう。

まぁ同情できるかと言ったら、まったくそんなことはないですけどね。だから、ルイスがバッサリと言葉で切り捨ててくれたのは痛快でした。

 

モニカがオドオドしながらも、七賢人だから、としっかり行動しているの良いですねぇ。ルイスやブラッドフォードと合流した後、打ち合わせをせずとも各々が為すべきことを為して連携しているのとかその実力を感じさせてくれるエピソードで好きです。

……ルイスが魔力温存のために、途中まで物理で障害排除してたのも、あまりにもあんまりで笑っちゃった。それで対処できるのは武闘派すぎでしょ。

 

加筆エピソードで七賢人たちの個性が見えたの、凄い楽しかったですね。

砲弾の魔術師が使う六重強化術式が、精霊王召喚によって借りた力をそういった形で出力してるのには驚きましたし。

モニカが無詠唱で四重強化までは使えるけど、そのためには彼女の美的感覚では「美しくない」分割という工程を挟まなくてはならず、進んで使いたくはないのとか。尖った個性を持ちすぎなんだよな……誰も彼もが。

 

公爵相手に明かせない秘密を抱えたエマニュエルに、とある人物が接触していたり。

ブリジットが「モニカ・ノートン」の生まれに疑念を抱き、接触してきて。「左手を怪我した女性」の噂を流して、モニカの隠したいことに協力する代わりに、こちらにも手を貸せと脅迫を交えつつ協力することになって。

薔薇の魔女との伝手もあって、公爵邸に侵入して情報を得られたのは良かったですけども。星詠みの魔女が「いよいよ動き出すのね」とこぼしていたりするし、情報が揃いつつある中で、近く事態が動きそうな予感はありますねぇ……。

 

特装版小冊子はキャラのアイコンに台詞が載っている会話劇というか、チャットスタイルというかの短めのエピソードを複数収録した形のもの。

公式アカウント初出の「突風注意」とか「自己紹介」なども収録しつつ、半分以上は書き下ろし。七賢人のエピソードとか笑えるものが多くて良かった。