「冒険者ギルドの理念は、人々の命を平等に守るため。ギルドの医療院の理念は、人々の命を平等に救うため。……僕は、この二つの理念を気に入ってるんです」
クットという国を目指して、それまでいたガーディル国を出立したセツナと弟子のアルト。
獣人によって住みやすい環境ではなかったこともあって、ガーディル国よりの地域ではゆっくりできなかったけれど、少し離れてからはアルトが植物図鑑で気になる実について調べたり、釣りを一緒に楽しむ時間を取るようになって。
のんびり楽しい師弟での旅を楽しんでいましたが……釣りの途中に針をひっかけてアルトが悲鳴を上げてしまったのを聞きつけた獣人たちが、誤解からセツナに突っかかってくる展開にもなりましたが。
相手がいきなり手を出してきたのはアレでしたけど、アルトという存在がセツナの重石になって、即座に戦闘とはならなかったのは良かったですねぇ。
こっちの事情知らないとはいえ、アルトに獣人の国サガーナへ行けばよいと提案したりしてくる獣人傭兵のカーラ達の物言いにはイラっとする場面もありましたが。
……まぁカイルから託された知識とかもあって「復讐を誓って動いている、滅びた国出身の獣人ですね」と指摘したりしてるし、セツナも時に火に油注ぎがちなところあるしな……。そこは相手が喧嘩腰だったというのもあるか。
ちょっと物騒な出会いがありつつ、お店の練習をしてアルトにお金の使い方を教えたりしていて、セツナがしっかり師匠してて良かったですね。
彼もまたずっと病室暮らしだったので至らぬ部分もまぁありますけど、少しずつ成長していってるのが良い。
新しい街に入ってギルドへ挨拶をしたら、ガーディルのギルドマスターから申し送りが来ていたり、依頼で知り合った黒ランクのアギトからの個人依頼が来ていたりして。セツナの薬によって、助けられる命が増えるかもと交渉が始まったりもしてましたが。
現状見えている範囲だとギルドは理念を守ってる良い組織みたいですし。カイルが所属を勧めたのはこのあたりも影響していたのかな。
そして新天地でセツナは運命的な出会いをすることになっていましたが……。
驚きの急展開ではありましたね。彼女は彼女で色々と事情を抱えていて、後に響いてきそうな気配こそありますが。抱え込みがちな部分とか似ているし、お似合い感はある。