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『――そうして世界は今日も続いてく。

(中略)

私達は、今日も元気に、がんばってる。

だからね、フィアちゃん。

世界はきっと、大丈夫だよ』

 

電撃の公式海賊本などに掲載され、文庫未収録だった『ハッピー・バレンタイン』、『正しい猫の飼い方』、『最終回狂騒曲』を収録のほか、書き下ろしエピソード『湯宴の誓い』、『旅路の果て ~Journey home~』、『そして物語は続く ~Cooking for you~』を収録した短編集。

 

書き下ろし『湯縁の誓い』は、戦争終結から一年ほどが経過した後のエピソード。世界再生機構の街は多くの人や建物が増えて、変化し続ける日々だったとか。

新しい施設を作ろう、という議題が出た中でファンメイが「温泉がいいと思う」とか言い始めて。シティ生活に切り替わってからも長く……改めていろんな知識が断絶してるなぁ、と感じる部分もありましたが。

かこーんって音だって主張した後「それ、鹿威し。温泉とは関係ないと思う」ってツッコミ入ってるの、地味にツボだった。

そしてタイミングよく地下の調査を行うことになって……予期せぬものを発見して。危うい時もありましたけど、最終的には丸く収まって良かった。

 

情報の断絶が活きてるエピソードでいえば『ハッピー・バレンタイン』もそうか。なんで月夜頭がいいのに時々あんな暴走するんでしょうね……。

『正しい猫の飼い方』はエドやファンメイが、猫の幽霊を見ることになる話。情報制御理論が通るこの世界だと、普通にありうるのか。作中でも出てましたが、人形遣いとかまさしく「ゴーストハック」使いますしね。

最も自然発生的なものは粗が多く、魔法士が使うものは洗練されている、など色々違う部分もあるようですが。毒になりうると知っていても、会いに来た幽霊の猫が、とてもいとおしい。

 

『旅路の果て』は歩み続ける錬とフィアが遭遇した、やり残し……というか。

彼の行動の結果、巡り合うことになった2人と言葉を交わすことになる話。いやまぁ、うん。錬の旅は、これからもこういうことの繰り返しなんだろうなぁ、と思いますが。フィアが隣にいてくれることは本当に救いだな、とも思いました。

最後に収録されているのが『そして物語は続く』。セラがとある目的からクレアの好物を探ろうとする話。身近にいるディーに話を聞いたりもしてましたが、彼もセラに会うまでは立ち位置が定まらずにいたわけで。他数名にも話を聞いてましたが、コレというものは見つからず。

でも、不意に「なぜそもそも食べ物なんだ」という疑問を投げてくれた人がいて。それでセラが見つけた答えが素敵で、本編後にこの話を読めて良かったなぁと思いました。