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「記録映像になくて、写真にあるもの、それは気持ちだと思います」

「気持ち?」

「ええ、気持ちです。写した人の気持ち、写された人の気持ち、そして写真を見る人の気持ち。きっと気持ちを残すために写真を撮るのでしょうね」

 

再読。8巻と9巻の間に刊行された、シリーズ2冊目となる短編集。

メモリーズのタイトル通り、主要キャラの過去編をたっぷり三編盛り込んだ1冊。

 

1話「夏の日の空になりたい」。

ADEMに入局して四か月目の時に、八代がNCT研究所を初めて訪問した時のエピソード。

人手不足ゆえにこき使われて、ゲノム・リモデル技術実験の哀れな被検体であるドーベルマンのような黒い犬を運び込んだようですけど。

 

それを峰島由宇に見せて情報を貰おうとしたわけですが……初期のまだ刺々しかった時期の由宇が見られたの懐かしかったですねー。いや再読で一気に読んでるんですけども。

態度はつっけんどんですけど、隠していた身体能力を発揮して八代や岸田博士を助けたあたり、人の好さは相変わらず。八代がそのことをいつまでも覚えているのも彼らしくて良かった。

 

2話「Romantic holiday」は、由宇に麻耶がアルバムを見せるシーンから開始。

監視カメラでずっと観察されていたから記録としては残ってるだろう、というあまりにもあんまりな由宇に、「思い出を記した写真と、記録では意味が違う」とちゃんと指摘してくれる麻耶ちゃんは偉い。

そして、そこから闘真と麻耶の初対面の頃の話になっていったわけですが……。後に読んだ報告書を基に自分も知らないタイミングの話も盛り込んだりして、脚色して話すの面白かったですね。

 

3話「亜麻色の髪の娘」。

一番時間軸としては過去……二十年前を描くお話。

まだマッドサイエンティスト峰島勇次郎の存在が知れ渡っているわけでもなかった時期であり……伊達もまだADEM司令ではなくて。

「マッドサイエンティストの護衛」という任務に従事している彼が守ることになったのは、セルゲイ・イヴァノフというロシアからの亡命者だった。

その傍には亜麻色の髪色のクレールというなの女性が居て……本編時間軸に繋がってきそうな描写とか、今は亡くなっているキャラとかも居て、過去編として良いエピソードでしたね。