ico_grade6_3

「良いですか、あまりエレーヌ様を恐れて、顔色を窺わないようにしてください。使用人たるもの、ご主人様の要求に迅速に対応べく一挙手一投足に目を光らせるのは当然ですが、だからと言ってビクビクする必要はありません。毅然とした態度で、粛々と業務をこなしましょう!」

 

主人公のリリカは5歳で両親を亡くし……近所に住んでいた、昔王宮で働いていた経験のあるヘレンに引き取られ、英才教育を受けることに。

そして立派な使用人になったリリカの最初の職場が、アシュベル王国第四王子ウィルジアの屋敷であった。

 

兄三人に比べると見劣りする部分があり、当人の興味も歴史の書物に向いており……歴史編纂家としての道を歩むことにしたウィルジア。

王家の血が将来の火種にならないよう、王位継承権を捨てた上で公爵家を建てたそうですが。それを良いことに当人が仕事に没頭しまくって、容姿は良いのに髪もボサボサにしてるし、人を傍に置きたがらないしで、屋敷に使用人を1人しか置かなかったとか。

そのせいで激務であり……入れ替わりが激しかったとかなんとか。

掃除洗濯料理というウィルジアが活きるのに必要な雑事をやってくれればよかった、とかそれ普通に無茶ぶりなんだよなぁ。

 

ウィルジアの母が使用人への注文が激しく、そっちはそっちで入れ替わりが激しいし、そのせいで色々と必要な情報が断絶したりしているようですけど。

ウィルジアも、彼の母も別に性格的に悪い人だったりはしないんですけど、王族の視野というか。使用人の事とか見えてないのが王族だなぁ……とは思いました。世間一般の常識に疎い。

でも、そんなウィルジアや彼の母エレーヌの要求に応えられるだけの能力をかつてのヘレンだったり、リリカが持っているからエレーヌの物差しを歪めた説はある。

 

一人で屋敷全体を綺麗にしたり、プロ顔負けの料理を作ったり、なんだったら木を切り倒して日照の調整をしたりはしないのよ普通は。料理は料理人、草木関連は庭師とかを雇うべきなのでは……?

まぁ、リリカの役職的にはメイドにあたるんでしょうけど彼女の師匠の教えが「使用人ならこれぐらいできて当たり前なんだ」なので全てを包括して指導してるってことなんでしょうけど。

しかも初期のリリカ、文字が読めないからこれらは全部暗記してるってことでしたし。スペックがバグっておられる。

万能メイドと、不器用な部分のある公爵様の交流は見ていて面白かったです。