「それはともかく、いくつかご報告があります」
「はい」
「少し困りそうな話と、頭を抱えそうな話と、信じられないくらい困るに違いない話があるんですが――」
「……あの、私、帰ってもいいですか?」
ダンジョンの奥で知った真実に関連して、いつくも考えなくてはならないことが増えた芳村たち。
三年前の真実をアメリカに伝えるのか。ダンジョンの奥にいる「仮称:デミウルゴス」の目的を誰かに伝えるのか。芳村たちが強いられる重大な判断について。
証拠もないし結局どうすることも出来ないから、と保留することになっていましたが。
そこに斎藤さんがやってきて。師匠を引っ張り出そうという思惑が透けて見える、CM出演の依頼が来たなんて話もして。相談……というか報告には来たけど美味しい話でもあるので受けるつもりの斎藤さん、強かですよねぇ。
音信不通になったタイミングで鳴瀬さんにランキング1位の話をバラしてたり、放っておくと何するか分からない人でもありますが。
後に三好と鳴瀬に、芳村が1位を獲得したタイミングの話を打ち明けて。どういった状況でそれが起きたのか、という真相が作中のキャラの中でハッキリすることに。読者目線だと割とわかってた話ではありますが。
トンデモ情報を共有させられて、課長と相談している鳴瀬さん本当にご苦労様です……。セーフゾーンが見つかって他の課とのバチバチやりとりも生じているし、課長さんもそのうち倒れるんじゃなかろうか。過労で。
話題に挙がってましたけど、魂の器から生じた鳥であるロザリオ。アルスルズは「ヘルハウンド」という存在が認知されていなかったために「犬」として登録が出来てましたが。見た目が完全にアメリカンロビンなロザリオは、届出対象動物のリストに載っていて……ダンジョン産と素直に書くわけにもいかず困っている、という話はヘルハウンドという完全異種が通った後だと、意外な気持ちにはなりましたね。
相変わらず視点切り替えが多いですけど。三好が懸念していた通り、Dカードチェッカーの供給が急かされていた裏には、外部にそれを流そうとする存在がいたのも明示されて。
…まぁ予想済み、対策済みなんですが。
促成栽培コースを受けている六条さん、かなりのペースでスライムを狩っていて、数値上は先に進める。もっとも経験が足りないから、量産してもどこかで死ぬだろうと芳村は懸念していて。
とは言え彼らも、まだ探索者になって半年もたってないんですよねぇ……。一般的な探索者としてのキャンプを経験するべきでは? なんて意見も出て。実際、ちょっと挑戦はしてましたけども。
女性が多いこと。装備が拙いことから、他の探索者に絡まれたりしてましたが。三好は表に出ていることもあって高名な冒険者がフォローに来てくれたのは良かった。
六条さんによる「マイニング」ドロップ決定チャレンジ、成果が出でましたが。欲望を忠実にくみ取ってランダムドロップ的な扱いになった層が出来てたのは笑った。なんでもありやなぁ……。