「兵に敬意を払わぬ将は、長続きせぬぞ。道理を通さず小手先で凌ぐ者は、結局のところ、いつか躓く」
『笛吹き悪魔』とつるんでいた貴族を叩き、直ぐにその街を離れたランベール。
彼は、『迷い人の大森林』と呼ばれる危険地帯を横断して、冒険者が集う都市バライラを目指していた。
道中、盲目の吟遊詩人と出くわしたり、首なしアンデッド馬を従えたりもしていました。
統一戦争時代においても希少であった、魔金を使って作られたランベールの鎧はとてつもなく重く、当時も並みの馬では潰れてしまう代物だった。
そこで同種であるアンデッド馬を活用しようと考えるの、なんというか「使える物は使う」精神で逞しいな。
アンデッド馬の存在などもあって、森の中の状況は混とんとしていたようですけど。
バライラ所属のギルド『踊る剣』の冒険者たちは、そんな中で穢れを祓うユニコーンの角を求めて森に入って。
……裏ギルドの襲撃を受けたり、別勢力である戦神ロビンフッドまで介入してくることになって、かなりややこしくなってましたが。
さらにそのタイミングでランベールがやってきて、『踊る剣』の命を救うことに繋がったわけです。
そこで縁が出来て『踊る剣』が依頼を受けていた、バライラ領主のモンド伯爵の顔合わせの場に同行することも出来て。
「バライラが『笛吹き悪魔』に狙われている」という警告だけして、去っていったのは潔いというか。私兵の実力は期待できないし、冒険者ギルドの形態も隙になり得る、としっかりと弱点指摘していくあたりは良い目をしてましたね……。
『踊る剣』のマスターであるユノスとは方針の違いが明確で、そのあたりもあって即座に離れて行ったのはあると思いますが。ランベール、裏切りによって殺されたけれど騎士の誇りは保ち続けているの良いですよねぇ。
実際ユノスの品性は下劣であって、その報いを受けることになったわけですからね……。二百年前からの因縁が多く残ってるのもあるけど、それ以外にも悪人が多くてよくもまぁ国としての形保ってるなぁというか。統一から二百年も続くと、どうしたって腐敗が進むか……みたいな悲しさはある。