「そんなことないよ、空魚。そんなことない」
鳥子が首を横に振った。
「冴月のことはもちろん大事だけど、空魚だってとっくに、私の大事な人になってる。共犯者、なんでしょ。もう少し私のこと、信用してくれてもいいよ」
大学の後輩・茜理の悩み……「猫の忍者に付きまとわれる」を解決した空魚。
それ以来不思議と見かけると声をかけてくるようになったりもしたみたいですが、自分と同じように不可思議な現象に見舞われた友人の話なんかも持ち込んできて。
共犯者である鳥子と、そこから知り合った小桜は結構迷いなく巻き込んでいくのに、向こうから踏み込んでくる茜理は結構そっけなく扱っているの空魚も面倒な性格してますなぁ……。
名前じゃなくてカラテカ呼ばわりしてますし。……でも、茜理の行動力は半端じゃなくて、小桜の家にまで踏み込んできたり。その情報を聞き取るために尾行してた疑惑なんかもあって、割と茜理もヤバい素質ある子ですよね……。
裏世界では、出る時に別の場所に繋がる不可思議な建物に遭遇したりもしてましたが、なんだかんだと生還しているのは逞しいですよねぇ空魚たち。
茜理の紹介で夏妃という彼女が遭遇したトラブルの解消につきあうことになったりしてましたが。そこで、彼女が見た動画配信者の名前が「ウルミルナ」であり、「ウルマサツキ」を連想させる響きが含まれていたことで、気にすることになっていましたが。
……向こうから早々に接触してきたのは驚き、というか。裏世界に由来するだろう異能も駆使して過激に宗教やってるとか、これまでのくねくねとかのホラー味とは違う怖さがあったな……。
空魚がカメラ越しに自分の「眼」の力を作用させることも出来る、とか言うヤバい事実も発覚したりしてましたし……。空魚が冴月の影を見ていた、ということが鳥子にバレてしまうなんて展開も盛り込まれていた、欲張りエピソードだったと思います。