「伯爵様は、もう貴方に教える事は何もないから、今すぐにでも町から立ち去るようにとの仰せです」
(略)
「うん、わかったよ。だけど一つだけ先生に伝えて欲しい。『全てが解決したら、また何時かお会いしましょう』って」
大陸東部の旅を終え、カエハの墓参りを済ませたエイサー。
彼の事を知るシズキやソウハはまだ存命でしたが、当然結婚していましたし……シズキも既に歳を重ねて先代当主になったりしているだけの時間が過ぎていたわけですが。
彼らの子供達も既に十歳以上の子供ばかりであり……突如現れたハイエルフに不審げな眼差しを向けてきたりもしてましたが。
シズキは「エイサーは父のような人だが、気に食わなければどんな形でも挑んで確かめればよい。この人は客人ではなく家族だ」というようなことを伝えているの、エイサーをよく理解している感。
扶桑の国で刀の作り方を学んできて、それをドワーフの王となったアズヴァルドへ伝えていたりエイサー、相変わらず手広く活動していましたが。
断章の「王座にて」で、過去のドワーフの王ですら刀は再現できず慟哭したという逸話が語られていて、エイサー絶対そこまで考えてないけど、影響を与える範囲が広いというかなんというか。
母には反対されたというけれど、シズキがエイサーをヨソギ流の相談役としてなって欲しいと言ってきたり。曾孫たちと交流する中で、エイサーに色々な影響を受けて自分の道を決める子が出てきたり。
エイサーに懐いたアイハが成長した後の番外編「初恋の終わり」とか、結構好きですね。
その後、エイサーは深い森に入ってハイエルフの長老にあったり、不死なる鳥についても知ることが出来たり。ハイエルフの魂の在り方についても、説明を貰ったりと色々と世界の真実についての理解も深まるエピソードが多かったです。
旅を再開したエイサーは、これまでの旅路で出会った人の記録を残したいと今度は彫刻の技術まで学ぼうとしたり。その中で、職人的な顔を持つ貴族の人と愉快な交流をしていましたが。権力闘争の余波で、望まぬ別れを迎えたエイサーがそれでも手を打って去っていったのが彼らしくて好き。
ウィンに合うべく西へと旅しているエイサーですが、人間至上主義の宗教が広まっており、色々と居心地の悪い地域ではあったわけですが。
トラブルに見舞われても彼個人だったら問題なく超えられますが。エルフが森を出て国を得たなんて話を聞いていってみたら、不足している部分が多く……かつてアレイナに助けられたことを思い出し、十年をこの国の為に使うと決めたのは良かったですね。
今回は特に良い断章、番外編が多かったですね。
エルフの井戸のある村が発展して今では町と呼べる規模になったけど、今でも「エルフの井戸の村」と呼ばれているのとか、そこに住む水の精霊が元気で、とてもほのぼのしましたね。