「うん アッシュ君はこういうのに手間を掛けたくないんだなってよくわかった」
「あれの相手はあたしがするよ」
第29話~第33話を収録したコミカライズ第7巻。
アーサー君についての事情を知って、良い笑顔でアッシュ君のところへ行くマイカちゃん可愛いですよね。「心配してくれてたの…!」と赤面しているのが特にカワイイ。
そして次にやる予定であった、領都周辺の地図の更新について。リインから「流石にちょっと待って」と言うようなことを言われたため、肥料の実験に移ることに。
そこに農村出身であるアッシュの事を良く思わない、モルド一派が文句を言ってくるわけですけど。隣にマイカが居て、その作業に忌避感を示していないのにぐちぐち文句を連ねることが、自分たちの首を絞めると気付けないのが、実に小物なんだよなぁ……。
「マイカ様のことではありませんよ」と、様づけしているのが滑稽に感じる。
まぁ、小物過ぎてアッシュ君に時間かける価値もない、と言葉をスルーされているわけですけど。そういうアッシュ君のフォローをするために、マイカは行動を開始。
モルド一派を排除した状態で、勉強会を開催することにして。
味方を増やすことで敵が手を出しづらくする狙いがあって。そうやって知己を増やすことで、参加者たちにも利点が多いというのが、巻末書下ろし漫画「天使の策略」で描かれていましたが。アッシュ君が農村出身ながら、夢への暴走特急として活動していろんな実績上げたりパイプ広げたりしているのを見て、視点が歪んでましたが。
農村出身の真の一般人、サイアス君とかも「軍子会で縁をつくれ」って言われてたけど、なかなか難しかった、とそれまでの状況を評価していましたし。マイカに負担をかけているんじゃないか、と協力を向こうから申し出てくれる関係を築けたのは大きい。
マイカにとって一番大事なアッシュ君も、そうやってマイカを通じて知己が増えることで、情報を収集できる場所が増えて行ったわけですからね。
今回問題になったのは、近ごろスラムの炊き出しが行われていないため、ひったくりとかの小さい騒動が増えている、との話。
商会の娘ケイだったり、農業計画協力者の囚人ベルゴ達だったりから話を聞いて。飢えの厳しさについて知っているアッシュは、どうにかできないかと奔走することにして。
業務が立て込んでいて領主主導で動けなかった状況を、見事打破してみせたのはお見事でした。
イツキ達も、未来への希望を抱けるようになって、表情が明るくなっているのが良い感じです。アッシュ君、石材の貴重さを知ったことでレンガ造りを画策。工業計画ロードマップの夢を語っていましたが、いやぁ、相変わらず人をその気にさせるのが上手いというか。当人が本当に望んでいるのがよくわかる熱量があって良い。
アッシュの記憶にもない、この世界の脅威「魔物」。人狼が迫っている、という話がジョルジュ卿からあって。原点とも編纂版とも違う、変わった見せ方をしてくれたのは興味深くて面白かったですねぇ。
巻末SS「ベルゴの直感」。炊き出しについてアッシュに相談する前のベルゴ視点。
スラム街のまとめ役たちと顔を繋ぐのと、アッシュと顔を繋ぐの、はたしてどっちがヤバいか迷う所っていうの、正直笑ってしまったな……。