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『あれが欲しい。なんとしても欲しい。絶対に欲しい。あれさえ奪えれば、人類は黄金よりも価値ある時間を手に入れられる。技術を手に入れられる。勝利と平穏を手に入れられるのだ。だから行こう戦友諸君。妻を守れ。子を守れ。親を守れ。隣人を守れ。そして罪なき人々を、人類を守るのだ。軍人の本懐を遂げに行こう』

 

作中全編掲示板回、という一風変わった作品。

WEB時代から読んでいて好きだったんですが、まさかの書籍化に驚きました。

タイトルにある通り、人類が宇宙に進出した未来……人類初となる異星人との遭遇を果たしたわけですが、通称タコと呼ばれる「ガル星人」は、初手から攻撃を仕掛けてきて。

技術が発展していたガル星人相手に人類はかなりボコボコにされて。重要惑星の失陥、艦隊の敗北。母星であるセントラルまで敵の艦隊が迫って、絶体絶命の状況だったそうですが。

 

……そんな戦乱の時代に登場したのが、「特務大尉」。

田舎と呼ばれるような辺境の惑星で、のんびり暮らしていたものの……ガル星人の襲撃を受け、民兵として戦争に参加。人類のスペックを超過した身体能力、超能力じみた勘などを最大限に活かして、人類の逆転に寄与した英雄。

人類よりも発展した技術を持つガル星人の戦艦に、部下10名を連れて潜入して奪取した上で、勘で操縦したりするし。

載っているロボも、人類の限界をあまりに超過しているために、有人での試験を行えないくらいのスペックがあるし。

特務大尉自身も、他の軍人が武装しないと勝てないガル星人相手に、素手で殴って頭破裂させるとか、様々な伝説を打ち立てている傑物。

 

……宇宙まで進出している未来の時代に、アナログの紙媒体メインで情報を得ていたり。

様々な実績を挙げている反面、常識を超えた行動をとるため「軍人」としての枠には当てはまらない存在なので、勲章も多いけど賞罰も多い扱いに困る存在ではあるようです。

ガル星人の思惑を超えられる唯一と言ってよい存在であり、排除は出来ないけれど規律に従うべき軍人としては困った枠。……その折り合いをつけるため、というわけでもないでしょうけど。

「形式上は銃殺した」という扱いで、書類上でだけ死亡記録作ってるのはちょっと笑っちゃったな。形式大事にしすぎて、ダミーを射殺するだけなのにちゃんと勲章のシール作って貼ってるらしいのがなお笑える。

 

多方面の常識を破壊して混乱させまくってる人物であるんですが、おおむね好意的にとらえられており、そんな一般モブたちが特務を称える掲示板が作中で描写されている感じになりますね。

英雄的快進撃の代償に悲鳴を上げている技術部とか、新兵器開発部とか兵站部とかもありますけど……まぁ最終的に勝利につながるので……。