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「必ず魔術で目を作るんだ」

 

勇者の子孫に現れる「英雄の傷跡」という、何かを失って生まれる特徴。

片腕や片足といった肉体的なモノだったり、感情や味覚といった感覚的なモノだったりするわけですが。

グリオン侯爵家に生まれたクノンもまた「傷跡」持ちの少年であり……彼は、生まれつき目が見えなかった。

 

「英雄の傷跡」と言われる通り、それは歴史の功績を感じるものであるため周囲からの評価は高かったけれど……クノン本人からすれば、どれだけ祝福冴え領都も、両親や優しい兄の顔すら見れないソレは呪いのようなものだった。

百年ぶりの「傷跡」持ちということで、王位継承権が低いながらも王女との婚約まで決まったみたいですけれど。

生まれつき目が見えず鬱屈したクノンとの時間は、婚約者であるミリカ王女からしても退屈な時間であり……定期的に会うことになっているが、時に逃げ出してしまうこともあったとか。

 

そんなある日、クノンは魔術の才能に目覚めて。

講師が口にしたとあるひと言から、魔術で外に「眼」を作ろうという発想に目覚めたわけです。そうやって希望を見出したことで彼の世界は輝きはじめて。

明るくふるまえるようになったのは良かったですけど、侍女が悪乗りした結果、間違った紳士像を叩きこまれてナンパな言動をするようになってしまったのはちょっとアレですけども。

……まぁ言動はナンパでも婚約者大事にしているし、目標である魔術には真剣だしの良い子なんですけどね……。