「――ライラ。物の価値って言うのはね、その時、その場所によって流動的に変化していくものなんだよ。この世に普遍的な価値のある物なんて存在しないんだ。であるならば、そう、今この瞬間にライラ自身が必要としているかどうかこそが何よりも雄弁にそのものの価値を語っているんだよ」
「え、今私けっこう高いって言ったよね?」
「その前に余ってるって言ったじゃない。ならおくれよ」
レアやブランはなんだかんだ魔物陣営で有りつつ、成功していったパターンではありますけど。
一般魔物プレイヤーはその過酷さにどんどんプレイ人口が減っていって。それでも続けている人もそれなりに居て、ゴブリン・グレートウィザードに転生して使役をアンロックしたというプレイヤーが魔物プレイヤーの交流スレに登場していたり、一般プレイヤーも侮れませんなー。
ブランから得た情報で、複数のキャラクターを集めることでより強力な個体に転生できる、という話があって。
レアの支配地の一つ、トレの森で実験を行うことに。スケルトンナイトを上位存在にアップグレードしたり、ニュート系の魔物を集めてドラゴンを生み出したり。
レア自身も当然新しいスキルを取っていってますし、ライラもまた経験値を集めて邪王への進化を遂げたりして。
ようやく魔物一般プレイヤーの間で使役の存在が出始めた、ってタイミングでそこまで踏み込んでいるのは相変わらずゲームが上手い、というか。新しい要素見つけていくのが上手い。ライラも試行錯誤の末に『鑑定』スキル見つけてましたしねー。
滅亡したヒルス王国をレアは庭のようにしていて。一方で隣国オーラルを押さえているライラも割と好き勝手している。
そんな中で不幸な行き違いが起きて……エルフの国ポートリ―が、ライラが野盗を動かしていた工作をヒルス滅亡に結び付けて、侵攻してくることになって。
運営主催の「天使が襲撃してくる」イベントの前に、その問題を片付けようとするあたりレアも相変わらずです。面子を大事にしているから、舐められているなら反撃しなくてはならない、と思いっきり叩きに行っていていっそ清々しかったな……。
ブランを介して伯爵と対面して、絶対もっと後に出てくるはずだっただろう情報とかゲットして。目標が定まったのは、まぁ良いことですかね……。
眷属になったNPCのマーレが、聖人ルートの進化を選択してレアの配下としてまたぞろ独自のイベント発生させていってるのも笑えましたが。本当に自由にやってるな。