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「私は全部自分でやればいいと思ってたわ。他人なんて当てにしても何も叶わないから。最後には全部、自分でやらなきゃいけない。ずっとそう思ってたし、今もそう思ってる。――でも、それが全てじゃない」

(略)

「私は貴方たちを死なせたくない。これからも生きてほしい。私自身、まだ死ねない理由がいっぱいある。だから――力を貸して」

 

ティアが禁域のダンジョンを攻略したことは、否応なく注目を集めることに。

レイナ達はティアの力量を信じているからこそ、それを疑ってませんでしたけど。いきなりこんな爆弾情報放り込んでくるなんて、何考えているんだ、と声を荒げる場面も。……いやまぁ、それはそう。

かなり慎重に動いて同士を集めて、かつての事件について調べたりしていたようですけど。その状況を引っ掻き回すようなネタですものねぇ。

 

禁域討伐の件の査問会が開かれることになって、レイナに与するキャシーが辺境にいるティアのところまでその情報を持って行くことになって。

過去を共有しているキャシー相手にはティアの対応が雑になったりしているの、変わってないな……というか。ちょっかい出して反撃されての関係だった、ある種の気安さがありますな。

……キャシーは、例の事件を期に聖女を辞して、レイナの協力者として動いていたようですけど。過去の傷を共有する相手でもあるので、ふざけ合ってるだけじゃなくて、真面目なトーンで会話するシーンもあったのは良かったですね。

 

ティアの教えを受けている3人娘は、色々なことを学んで成長していってました。

今回はサブタイトルにも表紙にもいる、竜姫エミーの掘り下げが多かったですけど。王族でもあるアンジェが「ダンジョンの資源を利用するのは危険だし、人の命には代えられない」という常識を持ってくれてるのは、なんかホッとしましたね。

「人の命を数で数えなきゃいけないのが王族の仕事」とモーリルに言われていたように、王族としては善良すぎる考えでもありますけど。

……今回明らかになった、王太子が過去の事件を引き起こし、今なおダンジョンを利用した実験をしている黒幕だって言う状況を見ると、アンジェが普通の感性を持ってくれていることがどれだけ救いか。

 

ティアもレイネ達もほぼ確信していましたけれど、王太子が諸々暗躍している人物で。

今回彼が敵を排除しようとして手を打ったのに、ティアはその罠を食い破って見せた。レイネに与する人々の多くが、過去の事件で傷を負いそれでもなお戦う道を選んだ人たちだったのは良かったですねぇ。

ティアがどれだけ強くても彼女の体は一つしかなくて。どちらか一方だけを選ばなくてはいけない、という場面で教え子たちが片方を受け持ってくれたのは成長を感じて良かったですね。

生き延びたことで王太子にティアの力量が認識されて、またちょっかいかけられそうなのが気掛かりではありますが。そうやって動いてくれた方が、尻尾を掴みやすくはなるか。どうか、悪辣に報いがありますように。