「あんた、不思議なくらいに生存能力だけは高いからね。なんだかんだ生きる術は見つけると思ってたわ」
大概のことは一人で解決できるだけのスペックがある少女、千早ちゃん。
しかしそのスペックを殺してしまう位に、彼女は重度のコミュ障で……他人と話す時に、ひきつったような笑いをしてしまうし、上手く意思疎通を図ることが出来なかった。
グループワークの課題を与えられれば、一人で全てまとめ上げてしまったりするし。課題の評価基準である協調性やコミュニケーションという部分が壊滅的で、そのため彼女の就職活動はさっぱり上手くいってなかった。
そんなある日、彼女のもとに届いたのが人型の工作機械――「アクタノイド」をリモートコントロールして、『新界』と呼ばれる異世界に踏み込んで、異世界開拓をする事業に従事することに。
……しかし、新天地でリモートコントロールで人命を気にせず資源開拓が出来るとなれば、無茶をする輩というのも当然出てくるわけで。
秘密裏に資源を運び込んで拠点を創り上げたり、近づく輩は問答無用で排除しようとしてきたり。実際、「戦争屋」と呼ばれるような立ち回りをする傭兵じみた働きをする人々もいるようですけど。
千早ちゃんは新人でもあるし、あくまで「完全リモート勤務」という部分に惹かれてこの仕事を始めたので、安心安全な運搬や調査任務を主体に動きたいと思っているんですよね。
……ただどうしてか、原生生物と戦闘をすることになって機体を破損する羽目になったり、先述したような秘密拠点を発見してしまって戦闘に発展した末に、その拠点を破壊しまくって地獄のような惨状を生み出したり。
そうやって結果的に戦闘をして、残った機体を回収することで利益を得ていく、なんてことを繰り返していくループになって。新人らしからぬ儲けを得ていますが、その金額分の恨みを買っていることも理解していて、震えまくっている千早ちゃん、可哀想で可愛いね……。
いやまぁ、コミュニケーション能力死んでるせいで、間違った学習をしていってる部分もありますし。千早ちゃん、問題解決能力は高くてなんだかんだ生き残ってしまえるのが、問題を悪化させていってる感じはありますけど。若隠居が目的らしいですけど、彼女の事を誤解している人々からは「ボマー」とか「劇場型の戦争屋」とか呼ばれまくってて、彼女の安寧はとても遠そうです。合掌。