「……なりたい自分で、いるだけなんだけどな」
容姿よしで文武両道、人柄にも問題なくモデル事務所にも所属している社長令嬢。
文句の付け所がないS級スペックの持ち主だから、S姫というあだ名が付けられたお嬢様、白姫リラ。
そんな彼女と、家同士の話によって婚約関係になったのが主人公の君波透衣であった、と。
ピアスや緩めた制服、髪を纏めるピンやパーカーの着用などなど。校則違反をしまくって問題児扱いを受けているようですけど。
そのことで先生に注意されたり、学友に注意されても噛みついて言い返してるから、まぁ実際扱いに困る問題児ではあるんでしょう。実際からまれてケンカとかもしてるしな……。
ピアスを外したくない理由もちゃんとあるみたいですし、料理人になりたいという夢もあって自分の軸をもってはいるみたいですけど。周囲との確執も生みまくったトゲトゲした生き方で、見ていてなんだかなぁ……って感じではありましたね。
そうやって周囲にトラブルふりまきつつ、自分は実家のレストランでバイトに勤しんでるの、同じバイト先のクラスメイト・冠城いちごに苦言を呈されても仕方ないのでは。
不良として見られているのも納得していて、だからこそ他人と距離を取っているみたいですけど。料理以外してなければ、料理人以外の進路なくなるだろうっていうのはあまりに安直すぎる。
自分の出立点であるメゾンを捨てて、三ツ星レストランに引き抜かれた後に独立した父のことを透衣は嫌っていて、その反発心もあるようですけど……「子供だから」というレッテルで何も見てないという君も、父にレッテル張ってるのでは。
そういう溝がある状態で、「今年でこの店を閉める」なんて聞かされたら、そりゃ心中穏やかではないでしょう。赤字続きなのであれば、まぁ判断としては止むをえない部分もあるでしょうけど。
婚約関係とか知らなかった透衣は戸惑ってましたし、料理人になろうとしていたのに見せ潰すしそれは諦めて、婚約相手に婿入りしてそっちの会社告げ、とかいう話を前から打診されていたのに息子に伝えてこなかった父はどうなんだ……。
必要なコトを説明してしない父にも、噛みついてばっかりの透衣にも問題はあるよなぁ……。
リラも、表向きは良い子だけど本音を隠す理性を持ってるだけで、その実好き勝手振舞う透衣は嫌いで……でも、ワガママ言いたくない気持ちもあって。
最終的にはバチバチ喧嘩しながらも、婚約を結ぶことになって……そこから交流が増えて、少しずつ関係が変わっていくのは、まぁ青春してたんじゃないでしょうか。