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「愛とは、自分を滅ぼす力を相手に与えた上で、それでも滅ぼされないと信じること」
(略)
「私達はね。生きているだけで色んなものを与えられるわ。家族や友達。仕事や責任。社会での役割よ。そうして一度でも得たものを手放すというのは、とても難しいことなの。けれど、たとえ得たもの全てを失ってでも、それでも守りたいと思うものがある。自分の身を滅ぼしてでも、優しくしたい人がいるの」


ラノベっぽくはないと思いましたが、そこそこ読める。
メディアワークス文庫あたりから出てもおかしくないんじゃないのかなぁ。
犯罪者に占拠された学校。
犯人は、「重犯罪特殊刑務所に収監されている少年を交渉役として連れてくること」を要求して。
その一方で、人質となった学内の生徒には「私が誰なのか」当てろと言い放つ。

学校には爆弾が仕掛けられ、警察も思うように行動できず、捕まった生徒たちの間には警察への不信が広がる。
交渉役として連れてこられた少年も、まぁ、犯罪者なんだから信用してもらえるはずもなく。
敵の計画が周到で後手後手に回っているなぁ、という感じ。
けれど、対応が遅れようと情報が少なかろうと、全く気にせず、断片をつなぎ合わせて真相を導いたカナタの頭脳は恐ろしいなぁ、というか。
普通だったらわからんだろう、という感じですけど。

しかしまぁ、この作品に出てきた母親は愛が深いというか。
カナタたちの母。あるいは、カナタが出会った宗像サナエ。
この二人は、良い親だったんだと思います。
一方で、組織ぐるみの行動に関与している権力者なんかもいるわけで。
いつの世も人の欲望は醜いというかなんというか。

異能バトルというよりは頭脳バトルになるんだろうか。
超先端科学はぶっ飛びすぎててアレですけど。
続きが出たら買うかなーって感じです。

ザ・ブレイカー 黒き天才、その名は (電撃文庫)
兎月山羊
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-05-10