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「馬鹿馬鹿しい 見えるわけがないだろう」
「そうですかい?」
「見えないどこかで 静かに奇跡は起きてるかもしれませんぜ」


海面上昇により、大地は少なくなった。
人々は化石燃料で浮かぶ空挺都市を作り上げたが、そこでは最も依存する相手を忘れてしまうという病が蔓延していて。
世界観は好きなんですけど、話の進みが遅いというか、謎に迫っているのかどうかっていうもどかしさがあるんですよね。
いや、少しずつ関係が明らかになったり、情報が出てきたりしているのは確かだと思うんですけど。
やっぱり古妖精病によって一番想っている相手を忘れてしまうというのがあるので、話が明るくはならないんですよね。切なさがある。
だから、謎が明かされず引っ張られていると、もやもやします。
いや、それでも次でたら買ってしまうでしょうし、いい作品だと思うんですが。

七雄と夏樹の話。
古妖精病を知って、喜んだ夏樹の心情。
それを発症したがため、壊れ始めた七雄と夏樹、牡丹の三人の関係。
そして牡丹が行動を起こしてであった、ある人々の話。
あぁ、やっぱりどうしようもなく切ないよなぁ、という感じで。

忘れてしまったこと、忘れられてしまったこと。
この街の人々の心には辛さや寂しさや哀しさばかりが募っていっているような気がします。
「この都市に浮いた表情の人間なんてそう多くないじゃないか」と夏樹は言っていますが、まさしく。
研究者の人々についても少しえがかれていましたけど・・・
この都市は結構歪なんじゃないのかなぁ、と。どうか幸せを掴んでもらいたい者なんですが、どうなることやら。