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「なるほど、基本か。確かに基本は大事だな」

「はいです、はいです。その通り!」

 

「名代辻そば異世界店」は今日も絶賛営業中。

ただ雪人たちは普通にもてなしているだけですが……さすがはギフトというかなんというか。日本では珍しくない自動ドアのガラスだったり、お冷のサービスだったり。立地もあって海産物の出汁も珍しかったりと注目を集める要素が多いんですよねぇ。

 

……まぁ今回最初のお客、大剣豪のデューク・ササキは、『剣王』のギフト持ちなストレンジャーで名代辻そばの店員に生まれ変わったルテリアとの戦闘目当てだったので、別の意味でも注目集める要素は多いんですが。

デューク、ササキという聞き馴染みのある名前ですが、過去に名を馳せたストレンジャーであるコジロー・ササキという剣豪の血を継ぐ……傍流の家だそうで。

 

剣豪伝説に憧れて、戦い続けて「修羅」と呼ばれるまでになって。最初はルテリアとの決闘目的でしたけど、彼女が剣を置いたというなら無理に戦っても空虚なだけと踏みとどまれる理性はまだあって。

 

放浪してたところたまたま名代辻そばに立ち寄ったところ、原点を思い出したのは何より。地の分でこのまま羅刹として生きてたら見るも無残な最期を迎えたとかしれっと書かれるあたり、名代辻そば周辺が温かいから忘れがちですが異世界なんだよなぁ……としみじみ感じました。

ウェンハイム皇国を出奔した元貴族のイデオの話でも、腐敗した貴族の話とか色々出てきましたし。

 

独特の風習を持つ国の王女、シャオリンが迷い込んできて……店で働くことになったり。

ギフト研究の名目できたはずなのに名代辻そばにほれ込んだ常連大食いエルフの婚約者がやってきたり。話題の尽きない店ですねぇ。
外伝として、10年務めあげ一人立ちしたチャップが活動を続け高名になっていった未来の話「20年後のチャップ」が書かれていましたが、それだけ物騒な世界の中で無事に流浪の料理人続けてるチャップのたくましさよ……。あちこちにほれ込んだ人がいるみたいですし、それも納得。