「無謀だの、割に合わないだの、おかしな言葉ですね。世界には代わりの利かないものに溢れているんですよ。あなたが平穏の犠牲として切り捨ててきたものの中にも。ヴェランタ、そんんあことさえわからないのならば、あなたはきっと、人を本当に愛したことがないでしょうね」
商業都市ポロロックに君臨していたグリード、その裏には「神の見えざる手」の一人ヴェランタの存在があって。
最後カナタの前に種明かしに現れた彼は、カナタの実力を確かめて自分では勝てなくても、「神の見えざる手」のノブナガには勝てないだろう、と安心してました。
実際、ノブナガはカナタよりもレベルが上らしく戦うことになったら苦戦は免れなかったでしょうが……カナタの師匠であるルナエールが、その気配に気づいて本拠地に襲撃をかましてくることになったの、災難というほかない。
残っていた「神の見えざる手」三人を相手に終始優位に事を運び、危なげなくとらえてのけたルナエール、強すぎぃ……。
でもカナタには弱いというか。見知らぬ面々の前で事情説明するときに、カナタの服の裾を不安げに握りしめていたり、最終的には赤面してカナタの背に隠れたりして、本当にちょろ可愛いな……。
ロズモンドに「甘ったるい空気」とか「何を見せられておるのだ?」とか言われるのも無理はない。
しかし、「神の見えざる手」という上位存在ナイアロトプ達が打てる、常識的な範囲の最後の一手であって……それが打破されたということは、もはやあちらも打つ手を選ばない、という事でもあって。
コントロール可能な配下であった「神の見えざる手」ではなく、厄介過ぎて封印を選んだ罪人3人を解き放つことに。
ナイアロトプ、上位存在ではあるけど下位の神であり、上司に無茶ぶりされている側でもあるし……その上司もまたより上位の存在の以降は無視できない中間管理職的な側面を持っていて。
罪人を解き放つことでロークロアが潰えるとしても、「あの御方」と呼ばれる最上位の存在が興味を持っているカナタ達を巡る一連の騒動に派手な決着を求めたことで、ただ世界を終わらせるなんて興ざめな展開ではなく、イベント盛りだくさんの最終章が開始することに。
ヴェランタ達もことここに至っては抵抗することもなく、ロークロア劇場を盛り上げるために配置されていた布石を回収した方が良いとか情報提供や協力をしてくれることに。
カナタ達が一つの布石に四苦八苦している間に、他を任されたルナエールが全ての役割を果たした上で、カナタ達のピンチに駆けつけてきたのスペック高すぎて笑っちゃった。