「いや、盤上遊戯の話ではない。ロアは、第10騎士団で何を目指したいのだ」
(略)
「僕は、ルデクの平和を目指します」
ルデクが滅亡した40年後の未来から過去に戻ってきたロア。
未来に広がり始めた瓶詰めという保存食の技術を再現したり、出来ることをしていくことでウィックハルトを救ったり、少しずつ成果を上げています。
早い段階でレイズと知己を得て第10騎士団に加入しただけではなく、2巻冒頭で実施された模擬戦でレイズに食らいついたことで、第10騎士団で中隊を任されることにもなってました。
ロアは多くの書物にあたり、未来の知識も持っていることで情報には強いですけど……あくまで一文官としての意識が強いんですよね。模擬戦でもレイズの部下であるグランツの癖を見抜いて策を建ててましたが、同じように自分も分析されるということや、いくつもの成果を出した彼の評価は一般には高い、という点とかレイズに指摘されてたのは良かったですね。
ウィックハルトの件のように未来を少し変えることには成功してますが、まだまだルデク滅亡を回避するためにはやらないといけないことが多くて……成功に甘えることなく、思考し続けているのが彼の強みですよねぇ。
滅亡の未来においては一文官に過ぎなかった彼には、過去の事件について知り得ないことも多くて。第一騎士団が裏切ったのは確実だが……滅亡までの早さを考えると、他にも裏切り者が居るのかもしれない、と考慮してるのは偉い。
ロア自身は考えすぎかもしれない、自分の妄想かもしれないと思っていますが、自分でもそう思う位の可能性でも、来るべき時の為に不安の芽を潰そうとしてるのは……滅びを、知っている彼ならではですかね……。
ドリューという技術方面の才能がある変人との縁もあるので、本当にいろいろやってますからね……。行軍中に苦労したから、と簡単に着火できる装置を考えたりもしてましたが。戦時中なんだから火付けに使われる可能性もあるだろう、と指摘されるまで思い至ってなかったあたり根は小市民すぎる。
第10騎士団預かりとなっている少女ルファ。彼女の秘密が今回明らかになって、庇護者を得ることになったり、第10騎士団の中で役割を与えられることになったり。
そしてロアが知る大きな戦……ゼッタの大戦に彼は自身の中隊を率いて参戦することになるわけです。
ロアの知る歴史よりは多少マシにはなってましたが、それでも戦である以上犠牲は出る。特に今回は彼を信じてついてきてくれたウィックハルトに危険な役回りを任せることになったりしてましたが……それでも、ロアは自分で決断したんですよね。少しずつ成長している感じがして良いです。まぁ気負い過ぎて過労でぶっ倒れたりしてたので、まだまだ青くもありますが。それでも、今回も勲功積み上げてるのは流石。