ico_grade6_4

「その腕を何故傭兵などに消費するのです! 金も、名誉も、欲しいままにできるでしょうに!!」

(略)

「ずっとこの生き方をしてきた! 儲かるからと都合よく鞍替えできるほど、器用ではない!!」

 

亜人ウルバスと交流し、彼らが鱗人と呼ばれていることを知ったジグ達。

彼等との交流は変わらず続いていて、「他人の金で食う飯は上手い」とジグに教え込まれているシアーシャを見て「間違ってないけど、教育に良くない」とか言ってるのとかなんてことのないやり取りながら笑えて好きです。

亜人側から見た澄人教の話を聞いて、それでも付き合い方を変えることのない2人が良かったですね。

 

傭兵として見て来た経験からジグが宗教には有用な面もないわけじゃないんだぞ、という話をしてましたが。最初の例に持ってきた「危険な食物を食べないように『神聖だ』というイメージを与える」という危険を遠ざける使い方への反応が悪く、「『聖戦』と言えば恐怖を忘れた兵隊にもできる」ってウルバスが宗教への危険度を高くする話持ってくるあたりが実にジグらしかった。

 

そんなジグ達の振る舞いは、人間至上主義の教義を掲げる「澄人教」からすれば認めがたいものとなっていて……。

澄人教徒からギルドに居る時に襲撃を受けて、関係者ではないジグが立ち入りに制限を掛けられることになってしまうことにも繋がってました。

 

その裏側には「問題解決すれば、そんな処置をとる必要もないよ」という思惑も込められていて……ジグと連れ立ってちょっかい出してきた輩を蹂躙できるとあって、シアーシャがそっちに乗り気になってくれたから良かったですけど。

ジグというストッパーが居なかったら、別のトラブルが発生してたかもなぁという意味ではちょっと肝が冷えました。

 

まぁジグとシアーシャが乗り込んで暴力での解決に踏み切るとなれば、心配することもないかーって読者目線でもちょっと安心してましたが。

事情を知っているウルバスとかは、ジグ達の力になろうと奔走してましたし。ジグが「自分よりも強い」と評するほどの使い手が教会に滞在していたり、一筋縄ではいかない戦いになったのは驚きましたね。

相手が強かろうと勝ちを拾ってみせるジグの在り方は、やっぱり好きですねぇ。仕事だからシアーシャの命に迫るほど戦いに臨んだし、依頼人が死んだから刃を引いた最初の戦いを思い出しました。

 

……番外編として書かれた「魔女と傭兵たち」でそんなジグの師でもある傭兵団の人が、彼が消息を絶ったシアーシャの小屋を訪問し、そこで別の魔女と鉢合わせたことでなんか別の物語が始まろうとしてましたが……。

シアーシャの異質さに気付いたヴァンノのリアクションといい、やっぱり魔女って存在特殊だよなぁと思うなどしました。