「ああ、そういうことか。まあ正直、関心があるかないかで言ったらないんだが――」
「ないんだ」
(略)
だが必要か不要かで言ったら必要なのだ。であれば、選り好みなどしていられない。
鬼界編、ひとまずの決着となる1巻。
アズマの招きを受けて彼らの拠点である西都を訪問することになったソラ達。多少の行き違い、というか考え違いもあったりはしましたが。
旗士と鬼人が争いになってないだけ、ソラの存在というのは大きいですよねぇ。光神教の事とかも知ることが出来たわけですし。
姉を助けるために監視の眼をごまかせる姿隠しの神器を求めることにしたクリムト。
彼はいろいろあった結果、反乱勢力として立つことになった大興山の勢力に紛れ込むことになったわけですが。その手助けをしたのが、御剣家を下に見る方相氏という勢力の人間で。適当につついて情報を引き出したりしていたのは上手かったですね。
クリムトを一度打破したという優越感から口が軽くなってましたし。その勝利が、クリムト自身の体内に仕込まれた神虫を取り除くために与えられたものだと気付いていないあたり実に小物でしたが。
方相氏側の人間、御剣家とのつながりを示唆するようなことばかり言いますし。
家内の犯罪を取り締まる立場であったがために殺されたウルスラの父に手を下した「四ツ目の鬼人」を装っていたのが方相氏の長であったりと、色々大きな情報出てきてるんですが。
そんな中でソラはソウルイーターを通じて、三百年前の過去について知ることになったり。
鬼界で勢力を伸ばしていた光神教の暗部を暴き、鬼界の真実と……そこに封じられていた強大な敵を打ち破るまでを描いていたのでかなり満足度の高い1冊でしたね。
まぁ、この真実を知った上で彼は鬼門を出て、かつて自分を追い出した父と相対する必要が生じていたりもするわけで、あくまで大きな問題一つ解決しただけで、その先にも別の大きな問題が残っているあたり、これまでも見たソラの人生そのものだな……感がありますね。