「俺の頭で足りなかったら他の方を頼りましょう」
「阿左美様…」
「あやめ様 諦めてはダメですよ」
春の事件によって夏の双子は、神と護衛官という立場から双子神という特殊な立場になってしまって……そのあたりの事情を描く「いずれ菖蒲か杜若」。
夏の里は護衛官も含めて身内で固める方針をとる里で……瑠璃の新しい護衛官候補である雷鳥は腕前は確かなので任せられる。
しかし、あくまで護衛官だったあやめのお相手は医者の家系であり戦闘は専門外で……このまま行けば、婚約解消は避けられないだろうとあやめは考えていた。
自分も神様になってしまったことで息が詰まる想いをしながらも、疲れて寝てしまったさくらの横で凍蝶が優しい顔しているのを見て「素敵なものを見てしまった」と思える微笑ましさがあったり。
秋陣営の抱えている問題……撫子の両親は撫子に対して興味を持っていない問題について、助力しようと申し出てくれたり、人の好さが伺える。
お相手と出会ったときのエピソードも挟まってましたが、彼が語る「実家に花冠被ってる写真あるでしょ」のコマの幼少期あやめが凄い可愛かったです。
あやめの婚約事情を伺った秋の護衛官阿左美が「じゃあ、鍛えましょうか?」と言ってくれるの、結構好きなんですよね。夫になる相手にも強さが求められて、今はないから問題になるなら、鍛えればいい。なるほどシンプルな回答だ……。
「春の舞」でさくらが助けに来てくれた時、その善意を疑った彼が大分丸くなったなぁ……と思いましたね。撫子を失ったことで人生観が変わった、と自分で言ってますが確かに。
「護衛官候補君影雷鳥による代行者日記」は、瑠璃のお相手である雷鳥目線の話ですが。
押して押しまくって洗脳したとか自供してる当たり、大分歪んでるよぉ……。いや、なんというか交流の仕方とか表現の方法がちょっと歪んでるだけで、なんだかんだ代行者護衛官に選ばれるだけの素質というか、気質というか持ってる御仁ではあるんですが……。
まだ護衛官候補でしかないけど、「瑠璃を守って、僕が先に死にたい」とか覚悟決まってるので、凄い向いてる人だと思いますね。
「花残月」は、春の事件後に同じホテルに滞在していたタイミングの春主従と冬主従の話。さくらの誕生日である4月10日をお祝いしたい。そのために贈り物をしたいけど、コソコソ準備している間にも時間が迫っていて焦ってる雛菊が可愛かったです。
そつなく贈り物準備している凍蝶は流石ですが。春帰還の知らせを受けてから、あのドタバタの中でよくもまぁ贈り物準備出来ましたね。休憩の合間に急いで買いに行ったとは言ってますが、それにしたって仕事が早い。
かつて冬主従だけではなく、命の危険があった冬の里の面々も、雛菊の献身によって救われた。そのため、冬の護衛の中から春の護衛に派遣されることになった時、志願者で腕相撲大会始まってるのはちょっと面白かったですね。
冬の里にいい加減戻らないといけないけれど、さくらの誕生日はまだ滞在しているタイミングだったので、警戒つつ出来る限り盛大に祝っていたのは良かったですね。
祝われまくってしおしおになってるさくらが可愛かった。