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(――拝啓、名も知らぬセレネの産みの母へ。ちょっと教えすぎて、お宅の娘さん、強くなり過ぎました)

まぁ、力を持っても粗暴な行いはしないし、させていない。

あくまで自衛の範囲だ、と自分に言い聞かせている。

 

春先まで滞在したダンジョン都市から旅立ち、虚無の荒野を目指したチセとテト。

しかしその道中で何者かの襲撃を受けて死に瀕した女性を発見して……彼女から、辛くも難を逃れた赤子を託されることに。

当初は街でその子供……セレネを育てながら出来る仕事を探そうとしていた2人でしたが、対象の殺害を諦めていなかった暗殺者に狙われ、一般人を巻き込む恐れからチセたちは彼女達しか入れない虚無の荒野に逃げ込むことに。

 

チセが創造魔法を駆使して居住環境を整えて、そこでセレネを育てていくことに。

セレネがすくすく育っていく中で、チセもステータスを伸ばすのを続けていたところ、【不老】スキルを会得してしまって永遠の12歳になってしまったのは……なんというかご愁傷様という感じではありますが。

チセ達の教えを受けて、セレネのスペックも向上していましたが、閉じた世界に引きこもり続けるのも良くない、とある程度セレネが育ったところで人と交流するために外の世界へと踏み出して。

セレネの夢を守るために、魔女らしい三角帽を作ったり、箒や絨毯で空を飛べるような技術を編み出したり、なかなか親バカしてますねぇ……。

 

ガルド獣人国へと向かってしばらくしてから、ダンジョンが出現して。

厄介な環境を携えたダンジョンを、結局はチセとテトが2人で攻略したわけですが。地上に残って、チセ仕込みの回復魔法を使っていたセレネもまた注目を集めることになって。

ダンジョン制覇者として2人の名前が知らされたことで、セレネの実家も生存に気付いて動き始めることになったりするわけです。

赤ん坊のセレネと出会って、彼女が成長して、実家とのやり取りもして……最後には別れるまでを描いているのでなかなかの密度の1冊でしたね。