「数を頼みに勝てると思ってるような奴ら相手に 遅れはとらねぇよ」
同名作品のコミカライズ。
主人公のトールは十五の時、普通に学校に行こうと家の扉をくぐったところ、異世界に迷い込んでしまった。
振り返ってもさっきまでいたはずの地球の家はなく、危険な魔物に襲われて命からがら逃げる羽目に。
初期は現地の言葉も分からず、転移に際してありがちなチート能力が貰えたわけでもない。そんな中で帰還の術を探るために彼は冒険者となり……言葉を覚え、冒険者としてもソロでBランクになるまでになった。
……しかし当初の目的であった帰還方法については、9年の時間をかけてもさっぱりで。
何の予兆も無くこの世界に来た以上、同じように送り返されてしまうかもしれない。
そんな気持ちから、これまでの9年間でもある程度線を引いた交流を続けて来たみたいです。ただ、異世界生活も十年目という大台に入ることになり、もうこの世界に骨を埋める覚悟を決めて。
十年目の決意記念日をやけ酒で過ごしているのと、深酒してトラブルに遭遇してるのはおいおい……って感じではありましたが。
実はトールが立ち寄っていたその街は、近ごろとある騒動が起きていて。
ウバズ商会という街を代表する商会の長であった夫婦が三年前に事故で亡くなり、後を継いだハッランという男が前代表の名に泥を塗るような行いを重ねて。
粗暴な冒険者のクラン『魔百足』という戦力を抱えていることもあって、これまで扱いあぐねていたみたいですが。
トールは根無し草だったこともあり、確実にハッランには与していない。そして実力もあるということで、前当主夫妻の娘の護衛として派遣されることになり……その双子の少女もただ守られるだけの小娘ではなく、ハッランの悪事を暴く貢献をしたりする面白少女だったわけですけど。
トールと双子の出会いと、騒動の解決、そして街を離れるまでの小説1巻のエピソードを1冊にまとめてるので、あちこち駆け足で惜しいなぁ……って感じはしました。