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「親父殿 駆け引きは不要だ 俺は既に決めている」

「負ける気はないし 何かを手放すつもりはない」

 

3438話を収録。

帯文が「俺は花嫁(ティナーシャ)を取り戻す」なのが、オスカーの重さを感じて好き。

オスカーができる事をしている中で、ファルサスに2通の書状が届いて状況が動くことに。

一つは、タァイーリから。クスクルからの攻勢が激しいので救援要請。

内紛にどこまで手を出すべきか、という意見も出てましたが……同時に届いたクスクル側の手紙には、周辺の国に「クスクルに従属しろ」と宣言するもので。

更にクスクルに与したティナーシャによって、都市の住人が消失する事件まで起きて、アカーシアの剣士であるオスカーに魔女討伐の依頼まで合わせて持ち込まれることになったわけですが。

 

その上で、オスカーは諦めない道を選ぶの良いですよね。

彼の父であるケヴィンも息子を試すような物言いをして、決意が揺らがないのを確かめた上で、王位を譲ることを決めて。

……原作読んでいると、ここでケヴィンが零している「血筋かな」というの、彼も彼でファルサス王族なんだよなぁ……って思いが強くなるので地味だけど好きなセリフです。

 

タァイーリ、魔法士迫害をしているから魔法攻撃に弱いの、納得できる話ではありますが。大国が派遣した軍勢が、魔法士によって壊滅させられたというのは周辺国の意識を変えるのには十分で。

母が行方不明になった少年から、魔女を殺す気がないのかと詰められた時、「よく考えろ」と諭しつつ、自分の推測が間違っていたらその時は魔女を殺すというあたり、信じる部分と決断して切り捨てる部分の線引きがハッキリしてますよねぇ、オスカー。あまりにも王族として覚悟が決まってる。

 

この大陸にいる「魔女はなぜ魔女なのか」。つまり長く生きている高魔力持ちはなぜ全て女なのか、という問いかけなんですが……男は魔力的には不安定で、長く生きるのには向かない、という話で。

理想を語るラナクが精神に影響を受けているというのが、もう怖くてしょうがないよな……。

 

オスカーとティナーシャそれぞれの覚悟の決まり方を見ると、タァイーリのルスト王子とか魔法士排除を謳う国に育ち、常識を揺るがすティナーシャの言葉を全て否定しないあたり素質は感じますが……。

ティナーシャを完全に信じたわけでもなく迷いの中にある中で、援軍要請しておきながらティナーシャの言葉に従ってのらりくらりと誤魔化してたの、悪手だよなぁ……としみじみ思いました。

なんならティナーシャ達との戦いに発展しそうになった時、ティナーシャを逃がそうとオスカーに切りかかってましたが、王子が要請に従ってきた他国の王に切りかかるとか国際問題待ったなしでは……。

オスカーも招待無しで王子の私室に踏み込んだりしてますが、釣り合わんだろ感が強い。

 

とは言え、ルクレツィアも言っていましたが、ティナーシャにとって重要なタイミングでオスカーが居あわせたのは運命的ですよねぇ。

色んな思惑がまじりあった結果、ラナクが新しい秩序を作ろうとする瞬間にオスカー達は間に合ったわけですし。

あとは表紙絵になっているティナーシャが白い花嫁衣裳来てて、扉絵で黒いドレス来てるのどちらも似合ってて良かったですね。