「俺はずっと逃げてきた……そんな俺を頼ってくれたアリアの信頼に応えたい! 俺自身を見て俺を認めれくれたアリアの期待からは逃げたくない!」
グラントス公爵家の次男として生まれた主人公。
貴族の通う学院で剣術で2位を取ったり、座学でも13位と上位に入る秀才ではあったようですが……長兄がなににおいても120点をとるような鬼才だったために、彼の努力はいつも正しく評価されなかった。
婚約者からも、兄以外の家族や使用人からも厳しい言葉を浴びせられ続けた彼はついに家を出奔。
中立国であるクラングルズ連合国へと足を延ばし、ベルクと名を変え冒険者としての活動を始めることにして。
次期侯爵としてやることが多く、弟の置かれている状況を把握できていなかったバドルは、弟が去った後に後悔し、一年足らずで国内の権力情勢を塗り替えたそうですし、こんなのと比べられたらそりゃたまりませんな……。
ベルクも、クラングルズで冒険者活動を初めて2年程度で冒険者として実績を積んでいて。
上から3つ目の階級である白銀級への推薦も視野に入るほどだとか。白銀級以上は、個人の武勇だけではなく、「冒険者」全体のイメージにも影響するので人格も審査基準に載るそうですから、環境が彼には会ってなかった部分はあるんでしょうねぇ……。
そうやって貴族の義務から離れて、冒険者の自由を満喫していたある日。
救援依頼を受けて駆け付けた先でベルクは、彼と同様に身分を隠して連合国に来ていたミルベルク帝国第三皇女アリアと出会うことに。
通常なら魔物を討伐すると魔石が残るが、アリアは魔物が落とす武器……「レアドロップ」を求めてやってきていて。ベルクはアリアを助けた時にそのレアドロップを得ていた。
お互いの事情を話し合った2人でしたが……酔った勢いもありつつ、肉体関係も持つことになって。自分を認めてくれたアリアの事をベルクは大切に思うようになり、彼女の目的のために力を貸したい、と彼女が帰国する際にはしっかりと同行。
絡んできた騎士を決闘で倒して実力を示し、さらに直後に帝国で起きた騒動の鎮圧にも協力することで、帝国の称号騎士として任じられることに。
一代限りの地位ではあるけれど、称号騎士は皇族との結婚も認められるということでアリアとの関係に公的に問題がなくなったのは良かった。いやまぁ、ベルクの実家方面の柵はノータッチなのでそっちでトラブルが起きないとも限らないし……アリアが連合国に来てまで果たしたかった目的に関しても、なんか暗躍してる輩が居て根が深そうなので、超えなきゃいけないハードルは多そうですけど。なんだかんだ乗り越えて生きそうな安心感はある。