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「趣味だけど?」

「わ~やっぱそうなんだ!!

 そっかー! カッコイイね!!」

 

ウルトラジャンプに掲載された読み切り……を、SNSで公開されていた時に見て好きになったんですよねー。

読み切りに加えて旧Twitterで公開していたラフだったり、ファンボックス公開エピソードに描き下ろしを加えた同人誌。

 

高校二年生男子の最中樹(もなか たつき)くん。

彼にはとある趣味があった。それは着物を着て喫茶店などで穏やかなひと時を過ごす事。

ただ着物を着ているだけではなく……いわゆる女装をしているんですよね。

短編の合間にちょっとしたコラム的に書かれていましたけど、別に性自認が女性ってわけではなく、「女性の格好がしたい」だけ。隠したいわけでも、黙って女性のグループに潜り込みたいとかそういうわけでもない。

あくまで趣味なんですよね。でも、自分用の着物を買って、祖母の使っていた小物を借りてコーディネートしたり、趣味だからこそしっかり準備してるのは好感が持てる。

 

幼少期から女性用の服装に興味があって。ただ、周囲の理解が得られないことにもすぐ気づいたので、週末にこっそり和装で出かけるのを楽しんでいた。

そんなある日、喫茶店から出たところで同じクラスの女子グループとすれ違ってしまって。内心ドキドキしながらも、素知らぬ顔でやり過ごした……つもりだった。

しかし翌日、そのグループに居たギャル・綿雲飴里が「昨日の和装の人、最中でしょ」と話しかけてきて。

メイクに本気だという彼女は、最中の変装を見破っていて。それを公言するでもなく、趣味で好きな格好をしている彼を「変だ」と切り捨てることもなく。

カッコイイと言って、「好きに純粋なの、良いね」と認めてくれるの良いですねぇ。

飴里、他の人の良いところ認めるのは得意みたいですけど、自分の中で「コレ」という軸がないことに悩んでいる部分もあるとかで……そんな彼女の、初めての和装を最中が選んで着て、「めっちゃ元気出た」と言ってるのがいいんですよね。

最中や飴里がお互いに刺さる言葉を自然に出しているのが尊いんですよ。

 

……ここまで読み切りパートの話しかしてないんですけど、やっぱり好きだなぁと思いました。

女装している彼を「最中」と呼ぶとバレてしまうだろうから、とあずきってあだ名をつけて。それから飴里の心に「あずき」のスペースが出来ているのが良いんですよね。

他の女友達と出かけているときにネイルでダスティローズという色が、あずき色っぽいなぁ……って手に取ったりしてますし。

最中も飴里という友達が出来たことで少し世界が広がっていましたし。

 

飴里、自分でも調べて和装を着られるようになって。当人曰く「ありあわせ」でもカワイイ格好になっているのは、それまでの積み重ねというかセンスの賜物だなぁ……という感じ。

飴里は最中の「和装&女装」を受けれいてくれたけど、分かってくれる人ばかりではない。だから、飴里の他の女友達とは会わない。「言わなければよいんじゃ?」って言う飴里に「友人として会うなら、男って言わないのは対等じゃない」って言う最中君、自分なりの芯がハッキリしてて良いですね。


メロンブックス通販にあった同人誌は在庫なくなってましたが、読み切りパートは先生のpixivに掲載があったので、参考程度に。