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「どっちかが好きにならなければ、浮気とは違うよ」

「そうだよね……うん」

 

ひとり暮らしをしながら学校に通っている少女、拝島雪。

彼女は「赤点を取らない」を条件にひとり暮らしを許されていたけれど……中間で赤点を取ってしまって。補習をちゃんと完遂することで、いったんは見逃してもらったようですが。より難しくなる期末試験の事を考えると頭が痛いところではありますねぇ……。

崖っぷちの雪は、学校でも随一の美人であるつかさが同級生の少女玲羅とキスしてるのを目撃してしまって。

友人の弓莉に聞いてみたら、百合カップルとして有名だったらしいですけど。そういった噂に疎い雪はさっぱり気付いてなかった。

 

ただキスを目撃してしまった後日……雨の中、所在なさげにしているつかさとバッタリ遭遇してしまって。

家に帰りたくないというつかさを、雪はひとり暮らしの家で保護する。その代わり、勉強ができるつかさが雪の赤点回避に協力する。

そんな協力関係を結んで、歪な同棲生活が始まるわけです。

普通なら女子同士だし、何の問題も……まぁ保護者や友人が心配するとかそういうアレコレはあれど、間違いは起きないハズですが。

つかさは玲羅と恋人関係のままで。同性でも恋愛対象になる相手が、恋人関係が続いているのに、他の女の家に転がり込んでいる。

 

これは「浮気」になるのでは……? いや、勉強を教えてもらう代わりに寝床を与えているだけ、と雪は言い訳を続けるわけですけど。

つかさと過ごす時間が増えて、彼女の事を知って。自分の抱えてた悩みを打ち明けたりなんかもして。少しずつ思いは育って行って……ついには「恋」を知ることになるわけです。

入間人間先生の推薦帯文で「誰かを好きになるって言う当たり前が、こんなにもギザギザ」なんて表現されていましたが、なるほど確かに。

歪んだ形で育って行った思いが、絡まりあってしまっているので、これどう決着すればいいんだ……って感じでゾクゾクしますね……。